死の隣人 ページ48
それは娼館で男が未だ濡れていない秘所に自らの唾液をまとわせた指を無理矢理にねじこむ様を
Aに想起させた。
アリエッタは深く傷口を抉られた痛みに、一度だけ大きく背を跳ねさせる。
すると、Aの左腕のように徐々に彼女の傷も塞がり、繋がり、元の形を取り戻していくのだった。
30秒程もすれば痕すら残らない、綺麗な玉の肌が破れた衣服の隙間から月明かりを柔らかに受け止めていた。
「ね？素晴らしいでしょう、これがあなたの……死神の血の力なのです」
男は立ち上がると、己の手袋に付着した僕の残り血を恍惚とした表情で舐め取った。
「ここまでお見せすればお気付きのことと思いますが、早い話私は貴方の血が欲しいのです」
「僕の……血……」
「そうですよ、貴方の血さえあれば私は死を恐れる必要など無くなるのです
今はまだ未成熟な力ですが、何度も経験を重ねていけばきっと立派な死神となれますよ」
僕はただただ呆然としていた。
なんだよ急に死神死神って、あれはただのおとぎ話じゃないのか？
やはりこいつ頭がイカれている
しかし先程目の前で起こった現象が微かにその説を否定する。
この男の頭がおかしいのは勿論だが、全てがこいつの妄想というわけでもないらしい。
死神云々は眉唾ものだが確かに僕の血には得体の知れない力があるのだろう。
「意味が、わからない……死神になるって何なんだよ……
アリエッタは、彼女は何のためにあんなに痛めつけられなきゃいけなかったんだ……」
「ああ、彼女は元々私が不死を得る為の儀式に使う供物として使用しようと調達してきたのですが……
幸運にも途中で貴方を見つけることができたので、ちょっとしたパフォーマンスのお手伝いをしてもらったのですよ
こうして死神としての力を使う経験を積んでいけば、いずれは貴方も立派な死神となり、その身が宿す不死の力を他者へ分け与えることができるようになるという訳ですね」
「何がパフォーマンスだよクソ野郎……」
僕は脱力しきってしまって、傷は塞がったが未だ動かない彼女のために激昂し男に掴みかかることができなかった。
それは大量に血を失ったせいかもしれないし、僕が抱く男への恐怖心のせいかもしれない。
いずれにせよ結果として一歩も動いていないので、やはり僕はただ口先だけは一丁前に回るゴミクズなのだ。
こんなゴミが不死って、本当要らない力だよね、もっと持つべき人なんて他にいくらでもいるのに……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます！とっっっっっっっても嬉しいです！！！続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います！あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります！ (2021年3月25日 23時) (
レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫（（うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます！これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします！ (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫（（うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます！あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あああああ | 作成日時：2019年4月21日 20時
