4話 蠢動 ページ13
2人が属する娼館は王都から程よく離れたそこそこの都市
その外れから更に外れた裏通りにある巨大な施設だ。
なんでもこの都市のトップである貴族の代替わりがあったらしく、それを機に王から直々に命令を賜ったとか。
王派閥にたてつく目障りな貴族共が、何やら違法な娼館に足繁く通っているらしい と。
それからというもの驚くべき短期間に何人もの貴族が捕まった。
そうなったら娼館───もとい巨大犯罪シンジケートの中枢を担うその一角───はさあ大変。
太い客がこのまま逮捕されていけば経営難に喘ぐことになる
いやそれだけではない、口の軽いボンクラがここのことをバラして自分達まで捕まってしまうかもしれない。
これが事の顛末であった。
「だから奴らは今もの凄く焦っています、王派閥はかなり力を持っていますから時間がないんです」
マーカスがいたずらっ子のように不敵な笑みを浮かべる。
ここは既に引っ越し中の馬車の荷台だ。
時刻は真夜中、月が出ていない今日は深い闇が辺り一面を覆っている。
真っ暗な道を何台もの馬車が連なっており、2人
の乗る馬車はその列の真ん中辺りだ。
回る車輪がたてる音が幾重にも反響しており、ちょっとやそっとの物音など誰にも聞こえない。
「詳しいんだね、そういうコト」
「ああ、私の家系が代々貴族階級でね、父がここのお得意様だったんだけど
“身内からの密告で”捕まったんだ」
マーカスの表情が曇る。
「ごめん、本当に、隠してた訳ではなく
その……私の気持ちを伝える上で今の話は障害になるのではないかと思ってしまって……」
マーカスの手が震える。
Aは店の人間からマーカスの話を聞いていた。
曰く、貴族の四男として生を受けた彼は
家を継ぐ長男のスペアのスペアのスペアでしかなく腫れ物扱いされていた。
曰く、あいつは抑圧されて育った反動で暴れたくなったんだろう。
娼館運営のトップに立つ男との最低なピロートーク。
何が抑圧された反動だ。
自分の横で震えているこの男は
優しくて
臆病なところがあって
頼りがいがある
いいやつだ
「そんな事気にしないよ」
僕に彼の過去を気にする資格はない。
彼は僕の穢れた部分も認めてくれたのだ。
Aとマーカスは初めて人を信頼するということを学んだ。
荒々しく揺れる馬車の上、この荷台には二人のみ。
月すら隠れた今宵、2つの影が重なれども知る者はいない。
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あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます！とっっっっっっっても嬉しいです！！！続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います！あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります！ (2021年3月25日 23時) (
レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫（（うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます！これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします！ (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫（（うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます！あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あああああ | 作成日時：2019年4月21日 20時
