始まり ページ2
書斎。
革の本が所狭しに並ぶ、高い天井まで届く本棚が詰められた部屋に男はいた。
細い金の髪が乱れるのもそのままに、長い脚をそわそわと動かしている。
男の名はリーン。
この巨大な大陸を統べる王、リーン・ラーガ・アドニス・アンフェールその人だ。
「旦那様、温かいお茶をお淹れしましたよ
一杯飲んで少々落ち着かれてはいかがです？」
重厚な扉にノックをし、壮年の執事が声を投げる。
「お茶……お茶だって？マリアが大変な思いをしているのに、私だけその様な呑気なことができるか」
「心配されるお気持ちはわかりますが、日が落ちてから何も口にされてないではありませんか。
奥様もそのような事は望まれていませんよ」
現在の時刻は早朝四時、外は未だ暗い。リーンは実に十時間もの間飲まず食わずだった。
リーンは心優しい妻の事を思い浮かべる。
「うぅ……はぁ、そうだな……お前の言う通りだ。
すまない、冷静さを欠いていたようだ、入ってくれ」
「失礼致します」
男は執事から茶を受け取り、一口二口と腑に流し込む。
窓を見やる。
山の縁が陽の光を浴びて白い波線を浮かび上がらせていた。
もうすぐ夜が明ける。
男の心中に再び不安が込み上げてきた。
長過ぎる。
彼の妻、マリアは出産に挑んでいたのだ。
「旦那様！旦那様！！！」
突如、女の声が屋敷に響く。
メイドの声だ。
リーンは持っていたカップを即座に、されど優美に置くと風のように書斎を後にした。
「どうした、何事だ！」
リーンは駆けてきたメイドを見つけると大声で怒鳴った。
普段は決してしないことだが、彼女が廊下を走ってきたのを責めているのではない。
「ハァ……ハアッ……お産まれになりました！」
産まれたのは双子の男の子だった。
髪は輝く夜を閉じ込めたような深い紫色、月のような美しい白
大きな瞳は水晶のように透き通った紫、絶え間なく流れ行く川の色
それ以外はうり二つ、玉のような男の子
二人は両親から、使用人達から、国の者達から愛され、育っていった。
とても幸せな時間が過ぎていく。
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あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます！とっっっっっっっても嬉しいです！！！続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います！あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります！ (2021年3月25日 23時) (
レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫（（うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます！これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします！ (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫（（うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます！あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あああああ | 作成日時：2019年4月21日 20時
