第五十一話 ページ7
絮安と千紘が楽しそうに話しているのを遠目に見ているエース｡
そのエースを見ていたネルは､ニヤリと笑いながら､
「アンタ､お嬢ちゃんが好きなんだねェ」
「あァ……え"!?」
頷き､一拍遅れて驚いた表情になったエースに､ネルは笑いをこらえた｡
「バレバレだよ｡お嬢ちゃんが鈍感すぎるのさ」
「……千紘は､俺を好きになったりしねェよ」
「わからないよ？見たところ､お嬢ちゃんの旦那はいないんだろ？」
「確かに見た事ねェし､千紘も会えないって言ってるけどよ……それでも無理なんだ」
千紘が名も姿も知らぬ相手の話をすると､まるで辺りに花が舞っているように錯覚する｡
それはきっと､惚れた欲目というものもあるだろうが､千紘が相手の事を今もなお好きなのだと思わせられるのだ｡そして何より､以前聞いたことがあった｡
――千紘は､なんでケッコンってのしねェんだ？
――結婚したいって思える人がいないから｡
――じゃあ､そういう奴がいればするのか？
――うーん…しないかな｡
――なんで？
――私が好きなのはあの人だけだから｡どんなに会えなくても､私はあの人以外と結婚したいとは思えないの｡
その時の千紘の顔は､泣きそうで脆そうな微笑だったとエースは覚えている｡
話を聞いたネルは､懐からワノ国の物であろうキセルを取り出した｡
「ふーん……じゃあ､お嬢ちゃんにそこまで思われてるその男は幸せだね」
「…？」
「何年も一途に思い続けているんだろう？並み大抵のヤツにはできないよ｡簡単に心変わりするもんだからね､人間ってのは」
「そういうもんか？」
「ああ…そうさね」
紫煙を燻らせながら､ネルはキセルを咥える｡
そして吐き出された煙は､薄くなりながら空中に溶けていった｡
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←第五十話
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナーガ(プロフ) - 輝夜さん» あたたかいコメントありがとうございます！頑張ります！！ (2018年1月10日 18時) (
レス) id: b1c1ba0bdd (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - 続編おめでとう！これからも頑張って (2018年1月10日 18時) (レス) id: 51b7b5aab2 (このIDを非表示/違反報告)
ナーガ(プロフ) - 閻魔舞さん» ありがとうございます！なるべく早めに更新できるよう頑張りますね！！ (2018年1月9日 18時) (レス) id: b1c1ba0bdd (このIDを非表示/違反報告)
閻魔舞(プロフ) - 後編おめでとうございます！これからも更新頑張ってくださいね、楽しみにしています！ (2018年1月9日 18時) (レス) id: 4d46ad20fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナーガ | 作成日時：2018年1月9日 16時
