＊ ページ10
「……伊野尾ちゃん」
「ふぁ？」
「何か考え事してる？」
「え……」
お茶碗を置いて、真剣な表情でやまだが突然聞いてきた。
びっくりして、箸からせっかく掴んだ白米がぽろっと落ちた。
「まさか、また何かされた？
手紙とか来てるんじゃないよね」
「ち、ちがうよ！」
真剣な表情が強張って、怒りの片鱗が見える。
勘違いしてるやまだに慌てて訂正を入れた。
自分も箸とお茶碗を置いて、さっきから言いたかったことを小さく話す。
「違うなら、何？」
「あの……その……」
「伊野尾ちゃん。
何でも受け止めるから、大丈夫だよ」
ね、って微笑んで、机に、ぐーの形で乗っけていたおれの手を、包むように握ってくれた。
「えっと……もう、１ヶ月近く、ここに置いて貰ってるんだけど……」
「もうそんなに経った？早いな」
「うん……それで……そろそろ、引っ越し先を見つけよっかなって……」
「引っ越し、先……？」
やまだが、目を丸くして驚いている。
随分と急だね、って言われたけど、むしろ遅いくらいだよね。
だって、１ヶ月だもん。
「前のマンションの家賃だって、もう住まないのに払うのイヤだし……荷物も、また取りに行かなきゃいけなくなるのもイヤだから……」
「あー……それもそっか」
「うん……だから……」
「……もう部屋の目星ついてんの？」
「ふぇ？あ、や、それはまだ……」
「そっか。
……引っ越し、か……」
やまだは考え込んだまま。
おれから手を離して、再びお箸を握った。
黙々とまたご飯を食べる姿に、哀しいというかむしろ拍子抜け。
呆れた。
え、この話おわり？
大して興味ないの？
おれ出ていくんだよ？
やまだにとってこの１ヶ月はそんなもの？
色々と話したいことはあった。
でも、もう言う気が失せてしまった。
ちょっとは寂しがるかなとか、引き留めてくれるかもと期待したおれがバカみたい。
すごく美味しいはずの金目の煮付けの味が、なんだか全然分かんなくなってしまった。
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りりた(プロフ) - 夏夢さん» 夏夢さん〜！先日はレス遅れて本当にごめんなさい(T0T)夏夢さんのコメントにはいつも励まされてました！ハピエンにできてよかったです(笑)ありがとうございましたヽ(*´▽)ノ♪ (2017年5月17日 13時) (
レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - 完結おめでとうございます！ラストのハピエン、幸せでよかったぁ。胸を撫で下ろしました(>_<)色々あったことも含めて、完走おめでとうございます！さみしさは、読み返して紛らすことにしまーす( *´艸｀) (2017年5月17日 8時) (レス) id: 71f7ba549b (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです(*^^*)薮さん独白もかなりの時間をかけて書かせていただいたので、こうして感想いただけて私も感無量です。これからも頑張ります(*´ω｀*) (2017年5月11日 1時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - ダメです！！薮さん編ダメです！！涙腺崩壊です（ ; ; ） 誰かを好きになって、その人にも愛してもらって…っていうことの素晴らしさを、温かさを感じました。（要するに最高ってこと。）(笑) (2017年5月10日 20時) (レス) id: 45569d84a1 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 全く通知が来てなくて今更のお返事で本当にすみません……！薮ちゃんに嫉妬するなら絶対に勝てない身長かなと思いまして(笑)もうちょっと続けますので、期待せずに宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年5月8日 6時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりた
| 作成日時：2017年3月19日 23時
