＊ ページ27
「っ、耐えらんねぇ……！！」
「ほぇ？……っ、ぁ、！」
呟いた声が聴こえなくて、聴き返そうとした、その時。
今度はやまだが、おれを痛いくらいに掻き抱いた。
「ゃ、ま……？」
「頭じゃ、分かってんだよ……！！
伊野尾ちゃんを手放さなきゃいけないってことは、すげぇよく分かってる！！
けど俺の、心が……本能がもう、伊野尾ちゃんを欲して、求めて、堪んないんだ……！！」
その、甘く悲痛な叫びは、おれの心に切なく響いて。
いきなりで動かせなかった腕を、その背中に回して、しがみつくようにして抱き締め返した。
「伊野尾ちゃんが、初めてだったんだ……。
化物なんかじゃないよ、って、面と向かって言ってくれたのも、吸血鬼だと知っても嫌がることなく俺に血をくれたのも。
だから……俺は、伊野尾ちゃんを好きになった……。
初めて、人に恋をした。
同時に、絶望した。
一緒にいられないことは分かってたから。
俺を見つめてくれた時の伊野尾ちゃんの瞳が、俺に気持ちがあることを教えてくれた。
でも、通じあったとしてもお互いに傷つく未来が待っている。
手放さなきゃと思うのに、そうしようと避けていても、血を吸うことを口実に伊野尾ちゃんに触れて……。
俺は……俺は……っ！」
やまだの、血を吸う頻度が増えたのは。
おれに、触れたかったから……。
謝りながらも、やまだは、おれに触れたくて、でもまた、それはいけないことだと謝って。
……やまだは、本当に本気で、おれのことを……。
だからこそ、おれの、未来とかも全部を考えて、１番最善なのは身を引くことだって思って。
単純に考えすぎなのかもしれない。
恋人として一緒にいること、それがどんなに難しいことなのかおれは分かっていないのかもしれない。
でも、それでも。
もう、お互い、離れられない。
「たとえ、人のままでも……吸血鬼に変えて貰ったとしても……。
……この命が続く限り、おれは……ずっと、やまだの傍にいるよ……」
「っ、……伊野尾ちゃん……っ！！」
やまだの体重が、グッと、おれにかかって。
それに任せて一緒に倒れたら、やまだを見上げる体勢になる。
やまだに、押し倒された状態に。
「……ほんとうに、いいの……？」
「いいよ……やまだの好きに、してほしい……」
おれの言葉を聞いたやまだは、自らの牙で唇を少し噛んだ。
小さな傷がついて、唇がやまだの、血に染まって。
落とされたキスは、鉄の味が、した。
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りりた(プロフ) - ひぃψ(｀∇´)ψさん» ありがとうございます！完結状態でしたのでまだお読み頂ける方がいらっしゃってすごくうれしかったです！コメントも頂けて、また本能シリーズ、機会があれば書きたいなと原動力になりました(笑)本当にありがとうございました！ (2017年11月2日 18時) (
レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 夏夢さん» ありがとうございます〜！自前猫耳だった音楽番組の日を混ぜてみましたが、汲み取って頂けて嬉しいです(笑)誘い受けは書くのが難しいなと勉強になりました…。また、本能シリーズ書けたらなと思いますwありがとうございました！ (2017年11月2日 18時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ひぃψ(｀∇´)ψ(プロフ) - 本能シリーズ本当大好きです！更新通知見て嬉しくてコメしました。いやーいい！ありがとうございました(o^^o) (2017年11月1日 7時) (レス) id: 510a5838d9 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - お久しぶりですー！またこの二人に会えるとは！しかもあんなせくしーな吸血鬼とか！山田うらやま！想像だけで震える(危)いのちゃんが君のものだなんて！…あの自前猫耳の破壊力凄かったですよね(￣▽￣;)ビバハロゥイン♪ (2017年11月1日 6時) (レス) id: 71f7ba549b (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 夏夢さん» 夏夢さんお久しぶりです〜！コメントありがとうございます！そーだそーだ、楽しんじゃえー(￣∇￣)えへへへ、コメントほんと嬉しいのでどんどん絡んでください(笑)ほんとにありがとうございましたー(*^ω^*) (2017年7月10日 23時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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