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「そろそろもどろ、いのちゃん」
「うん、そうだね!」
随分と長くなってしまった。
僕は本当に用を足してからいく、って言う知念を置いて、おれはトイレを先に出た。
真っ直ぐ楽屋に戻ると、みんながどこ行ってたんだよって。
そういえば、何も言わずに出たんだった。
「あれ、伊野尾1人なのか?」
「ふぇ?」
「涼介が探しに行ったぞ?」
「うそ!」
どうしようかと思ってたら、がちゃってドアが開いて、中にやまだと知念が、2人で一緒に入ってきた。
嘘、まさかさっきの話……!
「お、涼介!
伊野尾先に戻ってるぞ!」
「知ってる、いないから一旦戻ろうと思ったらそこの前で知念と合流したから」
そこの前、ってことはトイレにいたおれたちの話は聞いてないってことか、よかった!
やまだの顔があんま見れない。
好きって自覚しちゃったら、なんか鼓動がおさまらない。
ああもう、すぐ撮影なのに。
「あ、伊野尾ちゃん伊野尾ちゃん」
「ふぇ!?」
「驚きすぎ!
今日なんだけど、ごめんマネージャーにスケジュール聞いたら今日この後も遅くまで仕事あるみたいで。
キャンセルでもいいかな?」
そうなんだ、残念。
……残念って思ってる時点でおれもうだめだぁ。
いいよ、大丈夫って答えたら、また埋め合わせするからって言われて。
そのまま撮影へと入ってしまった。
好都合だったかもしれない。
もう一度、家でじっくり考えたいと思ってたから。
これから、やまだとの関係をどうしたいか。
さっきより全然すっきりした気持ち。
知念のおかげだなぁ、なんて。
この時のおれは、すげーのん気にそんなことを考えていた。
.
「…………涼介、話聞いてたんでしょ」
「あぁ……」
「匂いで場所なんかすぐバレるよね。
いのちゃんの頭には無かったみたいだけど」
「……知念が伊野尾ちゃんにバレないように自分で指に傷つけたからだけどな。
俺に話を聞かせるため?」
「そう。
あとは本当に2人次第でしょ。
涼介も伊野尾ちゃんが特別なんだから」
「………………」
「本当に用を足してからいくなんて、数分もたない嘘だから僕はもう行くよ」
「おれも、行く」
「……涼介。
いのちゃん泣かせないで」
去っていく知念の後ろ姿。
それを見ながら、後に続く俺は自分の手を血が出るほど固く握りしめることしか出来なかった。
「伊野尾ちゃん………………ごめん」
END.
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りりた(プロフ) - ひぃψ(`∇´)ψさん» ありがとうございます!完結状態でしたのでまだお読み頂ける方がいらっしゃってすごくうれしかったです!コメントも頂けて、また本能シリーズ、機会があれば書きたいなと原動力になりました(笑)本当にありがとうございました! (2017年11月2日 18時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 夏夢さん» ありがとうございます〜!自前猫耳だった音楽番組の日を混ぜてみましたが、汲み取って頂けて嬉しいです(笑)誘い受けは書くのが難しいなと勉強になりました…。また、本能シリーズ書けたらなと思いますwありがとうございました! (2017年11月2日 18時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ひぃψ(`∇´)ψ(プロフ) - 本能シリーズ本当大好きです!更新通知見て嬉しくてコメしました。いやーいい!ありがとうございました(o^^o) (2017年11月1日 7時) (レス) id: 510a5838d9 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - お久しぶりですー!またこの二人に会えるとは!しかもあんなせくしーな吸血鬼とか!山田うらやま!想像だけで震える(危)いのちゃんが君のものだなんて!…あの自前猫耳の破壊力凄かったですよね( ̄▽ ̄;)ビバハロゥイン♪ (2017年11月1日 6時) (レス) id: 71f7ba549b (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 夏夢さん» 夏夢さんお久しぶりです〜!コメントありがとうございます!そーだそーだ、楽しんじゃえー( ̄∇ ̄)えへへへ、コメントほんと嬉しいのでどんどん絡んでください(笑)ほんとにありがとうございましたー(*^ω^*) (2017年7月10日 23時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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