あつあつのフォンダン・ショコラをあなたと 1

24　私の夢 ページ24

ゆう「気が済んだ(笑)？」


A「は、はい(笑)！」




カウンター席に移動した途端に出される、

この店の看板メニュー。



タマゴサンド、ボロネーゼ、ブレンドコーヒーにちっちゃなマカロン。


それに、

幾つもの、宝石の様なカラフルな可愛いケーキ。



うわぁ、

どれも美味しそう！




あっちの店でパンケーキを撮ったみたいに、

ここでも色んなアングルで沢山の写真を撮る私。




父「ほほう、いいカメラ持ってんな(笑)。」


A「はい、学生時代にバイトしてお金を貯めて買ったんです。

ライターになるのが夢だったので、記事と一緒に載せる写真が欲しかったから。」


ゆう「へぇそっかぁ。

でもAさんは、夢はライターなのに、ただのカフェ店員になろうとしてる。

ホントにそれでいいの？」


A「はい！」


ゆう「どうして？」


A「夢って、いつでも何回でも変えれると思うんです。

だって夢ですもん！」


ゆう「ま、確かに(笑)。」


A「今日、少しの間でしたが皆さんとご一緒させて貰ってとっても幸せでした。

向こうで食べたふわとろパンケーキといい…」


ヨナ「えっ？

あれ、もしかして、Aが食べたの？」




笑いながら、

ゆうさんが頷いている。




A「お姉ちゃん、あのパンケーキ、ホントに美味しかったよ。

すっごく愛情詰まってた(笑)。」


ヨナ「そう(笑)。」


A「私、分かったの。

ここで働く人達は、この店を心から愛してる。

忙しくて余裕なんか全然無いハズなのに、皆、笑顔で生き生きしてて。」


ゆう「そうね。」


A「ゆうさんは『ここは休みが無い、超ブラックな職場』なんて言ってたけれど、そうじゃない。

好きな事をやれてるから、休みが無くても全然苦にならないんでしょ？」


ゆう「まぁね(笑)。」


A「だから私も。

ここで、そんな風に思える位に真剣に働いてみたい。

私にしか出来ない事をどんどん見つけて、もっともっとこの店を盛り上げていきたい。

それが、今の私の夢です。

私の言ってること、おかしいですか？」




パチパチパチパチ



「素晴らしい！

君はなんて素晴らしいんだ！」


A「えっ？」





後方から、

拍手と共に店内中に響き渡る男性の弾む声。





誰？

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