コクハク。〜瀬名泉〜 ページ37
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｢……あれほど言ったのに｣
俺が深くため息をついたのは、ソファで寝るAを見たからだ。
いくら広いと言えどここはシングルベッドのみ。
二人で寝るには抵抗があると思って、こいつだけベッドで寝るよう言ったのに。
俺が風呂に入ってる隙をみて、ソファに移動している。
なんでここまで強情なわけ……今に始まったことじゃないけど。
俺は乾いた髪を整えながら、声を出してAを起こす。
ピクリともしないこいつにイラッとして、ついに上半身を起き上がらせた。
結構寝ていたのか、寝ぼけているAが俺に首を傾げる。
いや不思議そうな顔するな、あんたはベッドだっていってるでしょ。
｢明日の撮影で足引っ張られても困るの、さっさとベッド行け｣
｢んん……、ベッド……？｣
｢あんた寝ぼけると幼児退行するの……？匍匐前進で進んでるけどベッドの下で寝るわけ……？｣
俺でも信じられないくらい的確なツッコミが出る。
呆れを通り越して笑えてきそうでもあるが、とにもかくにも起こさなければ。
かといって腕を引っ張った時、脱力されて痛めたら元子もない。
｢……全く、今日だけだからねぇ？｣
匍匐前進で今にも潜りこみそうなAを抱える。
身長に対してそんなにない体重に、少しだけ関心した。
こいつの食生活からして、適当な運動じゃこの体重とスタイルは保てない。
きっと、俺の知らない何処かで、相当な努力を重ねているんだろう。
｢んん……｣
｢うわっ！急に動かないでよねぇ？｣
突然声を出したAに、慌てて返事をする。
これぞ関心している場合じゃない、と言うやつだ。
俺はAをベッドの上におろして、小さく息を吐いた。
仕方ないやつだ……なんて、思ってはいるけど。
抱えたときの顔が近すぎて、うるさい鼓動を誤魔化しているだけ。
……でも、Aほど強い気持ちはない。
引っかかっていることを解消しなくちゃ、この気持ちに自信が持てない。
それに……もしもこいつが、あの時の俺のように、雪姫さんのように、俺を否定したら？
ないと分かっていても、そんな想像があとを絶たない。
｢……いい加減離してくれない？｣
｢や〜……いずみさんもベッド……｣
｢はいはい……、起きて大騒ぎしないでよねぇ｣
だから俺は、Aに言ったんだ。
そんな気持ちを押し切ってまで、俺に強く伝えたこと。
それが、何よりも凄いことなんだと。
だから、もう少しだけ待っててほしい。
俺がこの気持ちに、自信が持てるまで。
｢……好きだよ、A｣
心の底から、この台詞を言える日まで。
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莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
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