コクハク。(４) ページ35
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泉さんに気持ちがバレてしまった日から、もう随分経ったように感じる。
けど実際は3ヶ月程で、泉さんと過ごした時間も、まだ半年も過ぎていない。
なのに私は、泉さんを好きになった。
泉さんが嘘だと、虚像だと決めつけたそれは、今になっても変わらない。
それが、彼に伝わっているのだろうか。
いつも不安で、周りに嫉妬してばっかりしている。
だから……こんな淡い期待も、崩れ去ってしまうはずなのに。
今日は何故か、確信に近い何かを持っていた。
なのに、その先に進めない、自信がない。
『"契約"じゃなくて、本当の彼女になりたい』
『私とお付き合いしてくれませんか』
たったこれだけのことが、何故言えないんだろう。
……まだ、まだ何かが、足りないのかもしれない。
なら、ここで言ってしまうのはダメだ。
やっとのことで泉さんから視線を外す。
俯いた私は、ポロッと本音を漏らした。
｢やっぱり私、弱いですよね｣
｢え……？｣
｢……なんでも！あ、私お風呂はいってきていいですか？｣
切り替えるようにぱっと表情を明るく保つ。
さっきすごく泣いちゃったから、メイクがぐちゃぐちゃだと思うし。
この顔で泉さんの前には立てないです。
｢すいません、押しかけた上に厚かましくて……｣
小さく頭を下げて、踵を返す。
好機を逃した後悔と、ちょっとした安心感。
そんなジレンマを抱えながら、キャリーバッグを探す。
｢……A｣
｢はいっ！なんですか？｣
刹那的に声をかけられて、咄嗟に返事。
泉さんはこちらを向いていて、さっきとはまた変わった表情だった。
だからといって全然違う訳でもなくて……なんだろう、説明しずらい。
曖昧な言葉を頭でぐるぐる回していると、泉さんが続けるように呟いた。
｢あんたは、弱くなんかないよ｣
｢えっと……なんのことでしょう｣
まさかの、私の独り言に対する意見。
驚いた私は咄嗟に濁すような台詞を言うが、泉さんは無視して続ける。
｢あんたが今まで俺に、散々してきた"告白"って……簡単じゃないよ｣
何を思ったのか、泉さんが口にしたのは、私の気持ちのこと。
｢自分の気持ちに不安になったり、相手に拒絶される恐怖したりする……と、思う。多分｣
｢め、メイビーですか｣
｢うるさい。……とにかく、そういうわけだからさ｣
泉さんは一瞬だけ私を鋭く見据えてから、目を伏せた後で
｢そういう不安とか、変わらない気持ちが持てるのは、充分凄いことだから｣
私に微笑んで、そう言った。
｢────あんたは充分、強いやつだよ｣
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莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
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