コクハク。(３) ページ34
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台詞の意図を掴めず放心していると、泉さんが不思議そうな顔をする。
その反応で益々分からなくなった私は、やっと声を出した。
｢泉さんあの……えっ？私もここに泊まるんですか？｣
｢当たり前でしょぉ、なんのためにカード渡したと思ってんの｣
｢あっ、ですよね。じゃあ私はこれで……んん?!やっぱり私泊まる感じです?!｣
｢だからさっきからそう言ってるって……馬鹿なの？｣
突然の馬鹿扱いに結構な打撃を受けて硬直。
あ、固まってる暇はないや。全然状況わかってない。
我に返ったと同時くらいで、大丈夫なのかと聞いてみる。
すると泉さんは、自分の荷物の整理をしながら語り始めた。
私に荷物を渡すからと言っていた時、フロントの方で交渉したらしい。
この部屋でもう一人、つまり私を泊めてくれないか……と。
最初こそなかなか承諾されなかったらしいが、最終的には許可を得たらしい。
その辺は多く語ってくれなかったが……泉さんのことだ。
一緒にいる時間は少ないけど、分かっている。
きっと色んな方面で、一生懸命交渉してくれたんだ。
これからのことを、ちゃんと考えて……。
私は、何も出来なかったのに。
泉さんが全部……全部。
｢お金は気にしなくていいから、あんたは明日のことを……｣
……やっぱり、叶わないや。
そう思って溢れた涙に、泉さんがたじろぐ。
でも……我慢なんて出来ない。
少しだけ、本当に少しの間だけ。
泉さんの優しさを想わせてください。
泉さんの想いに触れさせてください。
あなたの言動ひとつひとつに、どれだけ救われたか。
返そうにも返しきれないほど、私は貰ってばかりで。
だから、こんなにも溢れてくるんだ。
わがままで弱くてどうしようもない私だけど。
いつも背筋を伸ばして、同じ方向だけを見つめている。
厳しい態度に隠された、本当に優しくて強いあなたが。
｢泉さんが、好きです｣
私が困っている時、どんなに辛く当たっても、手を伸ばしてくれる。
そんなあなたを知った日から、どうしようないくらい好きになったの。
｢……おおげさ｣
泣いている私にそう呟いた泉さん。
謝りながら涙を拭いていると、目の前まで距離が縮まっていて。
｢いずみ……さん？｣
徐に彼の名を口にする。
泉さんは微動だにせず、ただただ私を見つめるだけだった。
私はコクリと唾を飲んで、彼を見つめ返す。
朝焼けの、紫色の空のような。
そんな淡い期待を、したくなったんだ。
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莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
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