コクハク。(１) ページ32
・
雪姫さんと透さんと打ち合わせを終え、再び泊まるホテルにやってきた。
正しくは"私が泊まるはずだった"ホテルなんだけど、それはさておき。
泉さんが私の荷物を、自分の泊まる部屋で預かってくれてる。
それを受け取るため、ひとまずこのホテルにやってきたのだ。
｢A｣
｢あ、泉さ……うわっ？！｣
泉さんに呼ばれて受付の方を見ると、何かを投げ渡される。
慌ててキャッチしたそれは、小さな硬いもの。
それには"1305"と言う数字とホテル名が記されてあり、カードキーだとすぐ分かった。
もう一度泉さんをみると、エレベーターの方を指していて
｢……先に行けってことかな？｣
そう勝手に解釈して、先に部屋に向かうことにした。
エレベーター前に行くと、何故か人集りが出来ていた。
その中心となっていたのが、ひとつの小さなお店。
コンビニっぽくもないし、売店のひとつかな……と首を傾げる。
｢あの人歌上手いなぁ、歌手かな？｣
｢ここお忍びホテルだって聞くし、そうかもね！｣
しかし人集りの原因は、売店の商品ではなかった様だ。
隣で話しているカップルが、中心となってるであろう人の話をしていた。
私は歌の善し悪しが分からないのでなんとも言えないが、確かに綺麗な歌声だ。
折角だし見てみようかと乗り出したその時、エレベーターの到着音がする。
｢……また見れるだろうし、いっか｣
独り言を残して、エレベーターに乗り込む。
何となくだけど聞き覚えのある歌に、ちょっとだけ口ずさんだ。
改めて歌った時、ふとレオ君の顔を思い出す。
レオ君ならもっと楽しそうに歌うんだろうな〜……。
でも、なんで今レオ君の顔が出てきたんだろう。
さっきの歌、もしかして……。
｢何調べてるの？｣
エレベーター内でした声に、ハッと我に返った。
どうやら、さっきのカップルの様だ。
男性が片手にスマホを持ち、何かを検索しているらしい。
｢いや、さっきの人が気になってさ。有名人かと思ったんだけど違うみたい｣
｢そうなの？……あ、確かにこの人、さっきの曲しか作ってない｣
｢名前は……なんだこれ、変な名前だなぁ｣
聞こえてきた会話に、少しだけしょんぼりとする。
内容からして、さっきのひとはレオ君じゃない。
あの破天荒な"作曲家さん"が、一曲しか作ってないわけないし。
夢ノ咲以来だからまた歌声聞きたかったんだけど。
｢別人じゃ、仕方ないよね｣
……それ以前に私は部屋に行かないとだしな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
