The real me(２) ページ27
・
泉さんがドアを開けた部屋は、会議室のようなものだった。
大きな白い机に、黒い椅子が囲うように並んでいる。
その椅子に座っていたのは、男女が1人ずつ。
男性は分からなかったが、女性の方には見覚えしかなかった。
｢木暮雪姫……！？｣
彼女の姿を見た私は、驚いて声を上げる。
直後、泉さんに目配せされ、慌てて"さん"を付け足した。
その光景を見たは木暮さんは、クスクスと小さく笑う。
｢いいのよ泉、驚くのも無理ないわ｣
｢良くない、俺の教育方針を疑われかねない｣
そしてまさかの返答。泉さん、心外です。
｢泉らしいわね……ほんと、どこで育て方を間違えたのかしら｣
｢はぁ？あんたが教えてくれたのは基本でしょ、これは俺の性格だし｣
｢またそういう弄れた言い方をする……。余計に修正した方がいいんじゃないかしら？｣
｢……ほんっと変わってないよねぇ、雪姫さんも｣
そんな会話をする二人を、交互に見つめた。
"あの木暮雪姫"が、こんなに砕けて喋ってる。
それさえもすごくびっくりしてるんだけど、何より私は、泉さんに驚いた。
何度も言うが"あの木暮雪姫"にタメ口で……まるで、昔からの友達のように話してるのだ。
泉さんがキッズモデルの頃からの縁で、泉さんの教育係ってことは聞いてたけど……ここまでとは。
うやらま……じゃなくて、泉さんすごい。
｢……なんてね。積もる話もあるけど、"まだ"プライベートじゃないわ｣
心の中で泉さんに嫉妬仕掛けた瞬間、木暮さんが踵を返す。
奥の方へ入っていき、私達を向かいの椅子に促してくれた。
泉さんがその椅子に座り、私も一緒に隣に座る。
｢そうだねぇ、"あと"で長年の鬱憤晴らしさせてもらうから｣
泉さんが少し強めに言う。ガチなやつですか。
心の中でツッコミを入れたタイミングで、木暮さんが深くため息をつく。
｢いつも思ってたけど、本当に可愛気ないわ。少しは真や小夜美を見習って……｣
泉さんの性格に指摘しようとしたのだろうか。二名ほど名前を出した木暮さん。
その一人に心当たりがある私は、小夜美さん？と聞き返す。
なのに木暮さんは、とんでもない発言をしてしまったかのような表情をした。
首を傾げたまま泉さんの方を見ると、泉さんも表情は暗い。
重苦しい雰囲気が、事の重大さを表していたから
｢……打ち合わせ始めましょう！ね？｣
少し……いや、かなり強引に話を変える。
小夜美さんというのは、私のマネージャーの？
真というのは、キッズモデルの"遊木真"のこと？
……なんて。聞きたい気持ちを、全て押し殺した。
The real me(３)→←The real me(１)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
