見据える瞳(２) ページ21
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｢あんたさぁ……、俺が来なかったら今頃どうしてたわけぇ？｣
変装用の伊達メガネをした泉さんが、いつものようにお説教する。
パタパタと歩調を合わせながらキャリーバッグを引いて、大きめの帽子を少し上げた。
｢す、すみません。でも、先に挨拶に行かないと迷惑かと……｣
｢そんなデカい荷物持って行く方が迷惑だから｣
｢うぅ……。そう、ですよね……｣
ピシャリと言われて、つい声に出して苦笑する。
泉さんはまた呆れ顔。腰に手を当てて、それで？と促す。
｢それ持って歩いてるなら泊まりでしょ、ホテルどこ｣
雑踏の中で聞き取った声に、少し考え込む。
駅からはそんなに離れてないはずだから、多分……。
小夜美さんから送ってもらった地図を思い出して、泉さんの前に出る。
｢ここ行った先……にっ？！｣
上を見ながら歩いてしまい、小さな段差に躓く。
前に重心が傾いた瞬間、泉さんが私の腕を掴んだ。
｢……っぶな、ちゃんと足元みなよ｣
｢……っ！？す、すすすすみません……！｣
咄嗟だったのか、泉さんが支えてくれる。
……のは有難いんだけど、近い！近すぎます！
さりげなく抱きしめられて私得ですけど心臓が持たない。
なんて心境で落ち着かず、ゆっくりと泉さんの腕を下ろそうとして掴んだ。
｢あ、あの。ありがとうございます、もう大丈夫です｣
｢…………｣
｢……泉さん？｣
泉さんの腕を掴むも、なかなか下ろしてくれない。
一体なにを思ったのか、微動だにしない。
やっぱり怒ってる？それともなんだ、照れてるのか。それならそれで嬉しい。
……まぁ、状況的に顔は見れないから不明なままなのだが。
｢い、泉さん！｣
思い切って声を上げると、泉さんとの距離が開く。
詫びるように小さく声を漏らした泉さんは、スマホに目をやっていた。
なーんだ。やっぱり意図的じゃなかったのか。
なんて思った直後、泉さんがこちらに目をやって
｢……ったく、ちょこまかしてないでちゃんと案内してよねぇ？｣
｢それは……ごめんなさい。でも、ホテルはすぐそこですよ｣
私は、今度こそ周りを確認しながら、ホテルの見える範囲に行く。
目的地が見えた瞬間、指をさして合図した。
｢ふーん……小夜美、やっぱりここにしたんだね｣
｢はい！この辺りで一番いい所を取ってくれたって……｣
……あれ？今、泉さん……なんて言った？
｢何ボサっとしてんの、早くいくよ｣
｢……あ、待ってくださいっ！｣
急かし始めた、泉さんの後ろ姿を追う。
僅かな疑念を、抱いたまま。
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莉緒(プロフ) - すいかさん» 返信遅くなりすいません！コメントありがとうございます！これからも面白いお話が出来るよう、頑張ります！ (2018年11月7日 22時) (
レス) id: 013457e9b7 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 面白いです!! (2018年10月24日 6時) (レス) id: 1cbfe77de4 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 愛姫さん» コメントありがとうございます！これから楽しんでいただけるよう、頑張りますね！ (2018年1月25日 17時) (レス) id: 9db52594cb (このIDを非表示/違反報告)
愛姫 - いつも楽しみに見てます！！これからも頑張ってください！！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43b6895a40 (このIDを非表示/違反報告)
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