22日目 ページ22
「なあ、A」
『トントン、どうしたの？』
「少し聞きたいことあんねんけど、ええかな」
『うん、それで、何の？』
「最近、どこに行っとるん？休暇の度にどっか出掛けとるやん、それも、えらいおしゃれして」
『っ…？』
殺気にも似た怒りを見せるトントンに、肩が跳ねた。
何故怒っているのか分からず、まともに彼の怒った顔が見れない。
遊んでるくせに、仕事はしっかりしてない、って思われたのだろうか。
最近、顔が緩んでるとよく言われてしまうし。
『城下町で…働いてる人に、仲良くなったから、会いに行ってる、んだけど…』
「へぇ…何で仲良くなったん？」
『え、っと…この前、買い物してた時にぶつかって、荷物落としちゃって…それを、拾ってもらって…』
「男じゃないよな？」
『…トントン、どうしたの？今日、何か怖いよ…』
答えに詰まってしまいそうになった。
もしかしたら、彼は寝てなくて、それで少し苛ついてしまっているのかもしれない。
彼の質問に素直に答えて、逆に逆鱗に触れただなんてことがあってはならない気がした。
『もしかして、疲れてる…？ごめん、私でよければ手伝うよ』
「…そんな言いにくい相手と会っとんのか」
『え、あ、いや、別に言えないわけじゃない、けど…』
「なら言うてや、男と会ってんの？」
『……そうだけど』
「付き合っとるん？」
『…うん』
別に、何も悪いことはしていない。
私はただ、普通に恋人が出来たことを言っただけ。
なのに、どうしてこう、悪いことをした後のような不安がふつふつと湧いてくるのだろうか。
いつもなら、思い出せば安心するぴくとの顔も、何だか不安にしかならない。
「…」
『…ごめん、何か、私したの、かな…』
「せやな、俺らのこと裏切ったな」
『…？どういう意味…？私、皆のこと裏切ってなんて…』
「裏切ったやん、わざわざ隠して守ってやっとったんに、いつか俺らのことだけ考えてくれる日が来る思って待っとったんに、何でお前だけそうやって他所んとこ行ってまうの？」
『なに、いってるの…わかんないよ、トントン…』
「わからへんの？なら、ちゃんと教えたるわ」
__書類がバサバサと落ちる音が聞こえた。
両腕を彼の腕により動けなくされたかと思えば、目を閉じる暇もないくらい、彼は自然に、私の唇を奪った。
突き放せるほど思考が追いついておらず、その後彼が言った言葉により、私の悲劇が始まった。
「…覚悟しときぃや」
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ぱずる(プロフ) - 感動してボロボロ泣きましたwなんと言えばいいのか分かりませんが、とても素敵なお話でした。面白かったです!! (2021年4月30日 1時) (
レス) id: 6fda5d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - みみみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません！書き終えてから少し走り気味だったかもと反省していた部分があったので、好きという言葉をいただけて本当に嬉しいです！他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまい申し訳ありません！走りが気になってしまった部分もあり少し心残りのある作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです！他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - やっと見つけました！ 本当に好きです！ (2020年2月16日 17時) (レス) id: a3e96579f7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 初コメ失礼します…？感想っていうか…この話本当に好きです。他のどんな話よりも。本当に。作者さんに尊敬の花束を。 わたあめ(語彙力溶けた) (2019年7月31日 11時) (レス) id: 058dc021e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そういろね | 作成日時：2019年4月9日 19時
