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21日目 ページ21

『あ…』

「…この前の」

『ぴくと、さんでしたよね、お久しぶりです、この前は本当にありがとうございました』

「こちらこそ、アイス美味しかったです、あれから好きになって、今日も買いに行く途中でした」

『そうなんですか!奇遇ですね、私も今から向かおうと思っていたところです、よければご一緒しても…?』

「勿論です」


彼の顔はやはり赤かった。
彼にはもう顔を見せてしまったので、彼の顔を見る時は、少し帽子を上にあげた。
私は苺を、ぴくとさんはバニラを頼んだ。
アイスまでお白いんですね、とからかえば、何故か白色には愛着が湧くんです、と少し照れたように頰をかいていた。


「え…軍の育成指導…?」

『はい…やっぱり、野蛮ですかね…』

「あ、全然!女性で軍に入っている人がいるなんて知らなかったものだから、驚いちゃって…幹部なんて、凄いじゃないですか」

『ぴくとさんは、どんなお仕事を?』

「森で木を切ってます…」

『木こりですか?』

「はい…俺の家で代々伝わってきてる職業で…本当は店とか出したかったんですけどね」

『この街に木こりは少ないですが、木材はまだまだ必要不可欠な物資ですから、ぴくとさんは、この国の縁の下の力持ちですね』

「Aさんこそ、軍隊の縁の下の力持ちじゃないですか」


他愛もない話ばかりではあったが、心地良い空気に包まれていた。
いつしか、休日には約束などせずども街で見かければ話しかけて、いつからか、またね、と言う言葉に期待を抱くようになっていた。


「A、最近ご機嫌やね」

『え、そう…?』

「うん、なんか、街に下りる度顔綻ばせて帰ってくるもん」

『…そう、なのかな』


彼のことが、好きなのかもしれない。
会えるかな、の期待よりも、会いたい、の欲の方が勝る頃には、淡い初恋を実らせたのだと、確信していた。


「…あのさ」

『ん?』

「僕、Aと初めて会った時、もう一回会いたいと思ったよ」

『…どうしたの、急に』

「毎日毎日、仕事の合間に街に出て、あのアイス屋にも通って、偶然を装って会えたらいいなって思ってた」

『…』

「…好きなんだ、Aのことが」


彼の頰は赤く染まり、不安を滲ます瞳は酷く綺麗だった。
俯く彼の手をとり、笑顔で彼にこういった。


『私も、貴方が好き』


これが悲劇の始まりだとも知らずに。

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ぱずる(プロフ) - 感動してボロボロ泣きましたwなんと言えばいいのか分かりませんが、とても素敵なお話でした。面白かったです!! (2021年4月30日 1時) (レス) id: 6fda5d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - みみみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません!書き終えてから少し走り気味だったかもと反省していた部分があったので、好きという言葉をいただけて本当に嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまい申し訳ありません!走りが気になってしまった部分もあり少し心残りのある作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - やっと見つけました! 本当に好きです! (2020年2月16日 17時) (レス) id: a3e96579f7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 初コメ失礼します…?感想っていうか…この話本当に好きです。他のどんな話よりも。本当に。作者さんに尊敬の花束を。 わたあめ(語彙力溶けた) (2019年7月31日 11時) (レス) id: 058dc021e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月9日 19時

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