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「いくつか言いたいことがあります」

『はい』

「…はい」

「あんな公共の場でいきなりキスなんかするんじゃありません」

『はぁい』

「……はい」

「あと」

「お前ら今すぐ別れろや!!!!」


トンちの言葉を遮るようにして叫んだのはシッマだった。
俺とAは、残りの講義は運良く終わっていたので、シッマの家で急遽集合となった。
そりゃ、あれだけ注目され、黄色い歓声が上がってしまったら、逃げずにはいられないだろう。
先程から俺の携帯がブルブルと震えている。
ちらりと除けばライムやったり、着信だったり、それも1人の女の子からじゃ無い。


「なんでよりにもよってこいつなん!クズの中のクズのような男やで!?」

「あれやわ、きっとなんかの催眠かけられとんねん」

『小学生の頃からずっと好きやってん』

「小学生の頃から催眠かけられとったんか、A可哀想になあ…もっとマシな催眠あったやろに…」

「誰にやられたん?言ってみ?ちょっとトントンと理由聞いてくるから」

「息の根止めたろか」

「トンち落ち着いて」


いるかもわからない人物の殺人計画が着々と進んでいくので止めれば、全員に睨まれてしまったのでそのまま怖気付いて静かになった。
いや、こいつらの恐怖もあるけど、この後の彼女達の恐怖もあんねんな。


「いやな、A、俺らは納得できひんのよ、大先生好きになった理由教えてくれへん?」

『…ちょっと、嫌や』

「なんで?浮気する姿が好きとか言わんといてな?」

「あ、あと顔とか声もやめてな」

「身長とか言わんといてな」

「性格はもっとあかんで?」

「全否定やないかい」

「当たり前やろ黙っとけクズ!!!!」

「いつもよりちゅめたい…」


俺が言葉を発すだけだ凄い勢いで胸倉を掴まれ睨まれる。
Aにはあんなに優しい声で、いつもよりも優しく接してるのに。
いや、まあ、嘘だとバレていたとしても、好きじゃないと言っていた奴が、しかもこんだけ浮気三昧男なんかに、安安と好きな人差し出す馬鹿はおらんやんな。


『…本人前にして言うんは、恥ずい…』


Aはあの携帯の音が聞こえていないのだろうか。
顔を赤くさせて唇を尖らせるなんて、そんな可愛い顔していい空間やないで。
ああほら、皆狼狽とるやんけ。
ゾムとロボロに関しては鼻血出てるで。


『…何でもええやん、うちちゃんと本気やで?』

「本気だからあかんちゃうかな…」

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月4日 4時

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