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「シッマ風邪ひいたんやって」

「馬鹿でも風邪引くんやな」

「ショッピ君に伝えたらめちゃ喜んどったわ、学校帰りに煽りに行くって」

「なんだかんだ見舞いには行く後輩」

「俺らも行くか」

「あ、俺今日は無理やわ」

『ごめん、うちも』


あいつらは渋々であったが、シッマの見舞いには行けない俺とAで帰っていた。
相当外せない用事なのだろうか、その割には急いでいるようには見えないが。
まあ、俺も彼女との約束があるが、別に急いではいない。
用事=急ぎではないからな。
でも、大学からシッマの家は近いし、行ってやれば喜んで次の日には治っどったやろけど。


『シッマからやわ、出てええ?』

「ええよ」


いちいち確認してくるところも、何だか律儀だ。
皆と帰っている時は、そういうのあまり気にしないのに。
デート中とかは、相手が気にするかもしれないと気にかけて聞いたりするが、やはり2人っきりだと少しそういう礼儀のようなものが、Aにも出てくるのだろうか。


『っ、シッマ、声大きいて、風邪なんやろ?安静にせなあかんやん』

『えぇ…でも、うち用事あんねん…』

『…わかった、一回家帰ってから見舞い行くから、お昼まだ?ん、お昼もついでに作ったるわ』


電話が終わったのか、何処か疲れた様子でため息を吐きながら携帯を鞄にしまった。
そう言えば、2人の時はながらスマホもしてるところは見たことがない。
2人だと会話しなきゃ気まづい感じがするからだろうか。
デート中でも携帯ようさわるカップルも最近は多いけどな。俺は苦手やけど。
2人の時くらいは触らんとって、って思うやんね。
本気じゃないから、そこまで気にしたことはないが。


「シッマ、来てって?」

『うん、まあ、そこまで急な用事じゃないからええわ』

「…そっか」


俺が風邪引いて休んだ時は、委員会サボってまで来てくれたんにな。
あれは高校だからだったんかな。
でも、風邪引くと何となく寂しくなるし、誰か来て欲しいのはあるだろうし、可能なら好きな子には来て欲しいと思うのだろう。


「なんの用事なん?」

『買い物』

「今から引き返して会いに行ったったら?買い物やったら明日でもええやろ?」

『鬱、明日うちと講義の時間違うやろ』

「?、せやけど」

『…やったら、今日はあかんの』


ほんの少し悲しい顔をして髪をいじるのは、ずるい。
抱き締めたくなる。
何よりその仕草は、可愛い、って、つい言ってしまいそうになる。

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月4日 4時

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