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「ただいま」

『ただいまぁ、おばさーん』


夏休みに突入し、海に行くでも遊園地に行くでも沖縄に行くでもなく、最初に俺の実家に帰ってきた。
折角の長期休暇だから、俺の親に付き合ったことを報告したいとAが言い出し、それな
一層の事夏休みはここで過ごそうか、という話になった。


「鬱おかえり、Aちゃんも、久しぶりやね」

『おばさん久しぶり、夏休みはここにずっとおるから』

「ええの?でも来月はお祭りあるし、まあゆっくりしてき」

「ん、荷物どこ置けばええ?」

「鬱の部屋持ってき、クローゼット空いとるんやし、入るやろ」


言われた通りに、二階にある自分の部屋に上がり、荷物を置いた。
いくつかの服は先にクローゼットにかけておいて、もう一度下に降りて、リビングへ向かうと、親父が満面の笑みで出迎えた。


「おかえり、案外早く帰ってきたなぁ!」

『おじさん、お久しぶり』

「Aはいつみてもかわええなぁ、娘にしたいわ!あっはっはっ」

「酒飲んでんとちゃうかこの親父」

「何言うてんねん、息子の帰省を喜んどるだけやろ、冷たいやっちゃなぁ」


後ろにビール缶2つくらい見えてんねんぞ。
そんな親父にため息を吐くが、Aに袖を引かれ、何かと振り向けば、早く言っとこ、と目で訴えられた。
まあ、今回の帰省は一応それがメインであるし、おかんがちょうどお茶を4人分淹れてくれていたので、席について、世間話をした後に切り出した。


「あんな、ここに来たんには一応理由あんねん」

「ん、どないした、改まって」

「変なことじゃないやろな…」

「何で俺こんな疑われてんの?」

『まあそんなことは置いといて、うち、鬱くんと付き合うことになってん』

「…あらまあ、あらあらまあまあ」

『昭和の朝ドラみたいな反応やね、おばさん』


おかんは驚いたように一度目を見開いたが、すぐに嬉しそうに笑顔になった。
一方親父は、酒のせいか歳のせいか、驚き過ぎて口の端からお茶が溢れている。
汚ねぇ。


『五月の上旬くらいに付き合い始めてん、ちゃんと報告しとこう思って』

「…Aちゃん娘になるんか」

「何言うとんの、そんなプレッシャーかけて別れてもうたらどうすんの!もうごめんなぁ、Aも鬱も気にせんとって」

「別にええんちゃうの、酔ってんねんやから」

『おじさん、そろそろお茶拭かないとこっちまでくるんやけど』

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月4日 4時

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