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保育園、小学校、中学校、高校。
それだけに留まらず大学までも一緒。
そんなアニメやら小説やら漫画みたいなことがあるかと思ってはいたが、まさかまさか自分に起こるとは思ってもいなかった。
起こる、は間違いやな。
起こらせる、やな。
「いやぁ、大学だけでなく学部も学科も同じなんかぁ、偉い偶然があったもんやなぁ!」
「せやなぁ、桜がやけに綺麗に見えるわぁ」
『そうやね、白々し過ぎて笑えるわ』
「と言いつつもめちゃくちゃ真顔やんな」
こんな大人数で固まってるだけならまだしも、男十数人ってだけでも絵面的にヤバいのに、それに囲まれる女の子っていう、入学式から早々、何とも可哀想な状況ではあるが、それを助けようともしないひ、まず思わない。
いや、これは俺が屑だからとかじゃなく、ただただこの状況が約20年も続けば慣れてしまうというわけだ。
現に、この中だと常識人と言われるトンちもひとらんも止めてないわけだし。
まあ、こっちから言わせれば、俺ら同様、1人の女の子追いかけてここまでする時点で頭可笑しいねんな。
「お前ら懲りひんな」
「何やねん、大先生も人のこと言えへんやろ」
「俺は可愛い女の子多いから来ただけやし、お前らみたいに女に困っとらんねん」
「ぐうくず」
「それにしても、大先生のこの前の紅葉は凄かったわ」
「あああれな、綺麗についとったなぁ…」
「何やねんその可哀想なやつ見る目は、ホビット童貞の分際で」
やいのやいのと騒ぐロボロを適当にあしらいながら、横目で彼女を見た。
すると、目があったので、取り敢えず笑えば、彼女も笑い返した。
満足気なその顔が可愛らしくて、化粧でほんのり赤い頰もいつもより赤く見えて。
この気持ちは、春の陽気のせいじゃない。
不自然にならないように、目を逸らして、他の女の子の集まっている方を見た。
「何や、また女見とるん?」
「まあ…お、あの子胸超でかい」
「よう飽きへんなぁ、お前」
「お前らもよう飽きへんな」
「Aに飽きるわけないやろ、あんなにかわええのに」
「せやな」
シッマには適当な返事に聞こえたのか、どこかつまらなさそうな顔をしていた。
そういう風に聞こえるように言ってるから、その反応がありがたいのだが。
紛れもない、本心なんやけどな。
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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月4日 4時