僕らのはんぶん。 (ページ30)

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好きだ。(黄) ページ30

あなたside

「おばちゃん、ただいまー！」

自宅かのように玄関を開け、
入ってすぐの階段を駆け上がる。

「淳太ぁ、ただいま！」

「やっぱAか(笑)
おかえり、
部活お疲れさん」

2つ年上の淳太は、
同じ高校の先輩で、
小さい頃からの幼馴染で、

…私の好きな人。

「また勉強してたん？」

机に広がるノートや教科書。

「何言うてん(笑)
受験生なんやから当たり前やろ」

今年、淳太は3年生。

来年からは学校も別々になる。
やっと同じ高校なれたと思ったんに。
大阪の大学に通うらしいけど、
少し、寂しい。

「えらいなぁ、たくさん勉強して。
大阪の偏差値高いとこ行くんやろ？
うちには無理やぁ…」

「あぁ…うん。
Aはまず、定期テスト
どうにかせんと(笑)」

「うっさいねん！
赤点なかったんやからええねん！」

こんなふうに、
すぐ突っかかってまうから、
淳太はうちの気持ちに気づいてない。

めっちゃ鈍感やし。

でも、淳太が卒業するまでには
告白するって決めたんや…！
受験終わるまでは我慢！

「で？何しにきてん」

「…息抜きも必要かと思って」

そういうと、淳太は優しく微笑む。

「丁度これから休憩しようと
おもとったんや、ようわかったな(笑)」

「やろ！淳太のことなら
お見通しやねんもん、
じゃーん！頭使うから甘いもの！」

そう言って後ろに隠してた
スイーツを見せる。

「最近できたお店のやつやん！
コーヒー入れてくるな、
Aはカフェオレやろ？」

「うん！ありがと！」

うちがカフェオレ好きやから、
おばちゃんに頼んで
常備してくれてるんやって。

ニヤけてしまうそんなん。

るんるんで淳太はキッチンに降りていった。

わ、机に大学のパンフレットいっぱいある…

1番上にあるのは
関西学院大学のパンフレット。

ここ目指しとるんかな…

パンフレットの束を見ていると、

「慶應義塾大学…？」

下の方にあった
東京の大学のパンフレットを見つけた。

まぁ、パンフレットやし、
いろんなところの見比べるやろうしな…

そういえば、淳太の先輩が
慶應通ってるって言ってたっけ。

「A、おまたせ。」

「わぁ！じゅんた！」

「なんや、そんなびっくりして」

「なんもない、早よ食べよ！」

少しもやもやしたまま、
その日は家に帰った。