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その日の夜、夢を見た。
『よっ』
「小瀧…？
これって、夢？」
『そ、Aの夢』
「…なんで、死んじゃったの」
『…ごめんな』
小瀧が悪いわけじゃないのに、
私は何を言ってるんだろう。
悲しげな瞳で笑う小瀧。
「プレゼントありがとう、
すごく嬉しかった。
私も小瀧のこと、好きだよ。
私のプレゼント取りに帰らなかったら、
小瀧は生きてた…？」
プレゼントだって、
本当は小瀧から直接もらいたかった。
「それはちゃうよ」
すぐに否定する小瀧。
「俺が取りに帰ったんは、
今日出さなやばかった課題やねん(笑)
好きなやつの誕プレ忘れるわけないやろ(笑)」
ここで、そんなこというの、ずるいよ。
「小瀧がいないとダメなの…
明日から、どうしたらいい？
小瀧のところに行きたいよ…」
「俺は、Aに生きててほしい」
小瀧の瞳は力強く私を見つめてた。
「小瀧がいない毎日なんて、
考えられないの！」
その瞬間、ふわっと抱きしめられた。
「俺やって、Aの隣にずっとおりたかったよ。
でも俺はずっと見てるから。
悲しい時も嬉しい時も見てるから。
俺のこと忘れんといてな？
生きて、笑ってて。
それが俺の願いやから。
約束、してや？」
「忘れられるわけ、ないじゃん…」
やだ。やだよ。
さよならなんて言いたくない。
小瀧は私にそっとキスをして、
「愛してる」
そう言って消えてった。
それから、私は毎日
空を見上げる。
幸せも、大切な人を失う辛さも、
教えてくれたのは小瀧だった。
小瀧が見てるって言ってくれたから、
私は大丈夫。
貴方のおかげで、
自分を好きになれたの。
空に向かって、今日も呟く。
「ありがとう、望」
私の手首には、
小瀧のブレスレットと
私のブレスレットが、
２つ並んで陽に照らされて輝いてる。
ありがとう、儚き愛しい日々。
奥華子 / はなびら
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作者名：ひよこまめ | 作成日時：2021年1月14日 13時
