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「…ここだ」



受付にまっすぐ行くわけにもいかず、バレないように下を向いて、でも必死に走って弟くんから送られてきた病室を見つける。



ドアの隣にはAの名前しか書いてなくて、1人部屋か、と上がっていた息を整える。



上がった息を整えて、とんとんと扉を叩いた。



「どうぞ」



聞こえてきたのはAの声じゃなくて、さっきも聞いた弟くんの声。



ありえない、ありえるはずのない予感に震える手を必死に伸ばして病室のドアを開けた。




「…A?」


「ヒョン、ずっと黙っててすみませんでした。ヌナは」



「A!!!!」



ベッドの上の彼女は本当にAなのかな。
あんなに細かったっけ。あんなに沢山の管に繋がれて、酸素マスクを付けられて、苦しそうに眉間に皺の寄っている女の子。



僕の大切な、大切なAなのか。



そっと触れ、握った手の小ささと、温かさに、堪えきれずにぎゅっと握った手に力を入れた。



10年間一緒にいたと思っていたのに、僕はなんで、知らなかったのかな。彼女が苦しんでいたこと、どうして知らなかったのかな。



「ソクジニヒョン」



「っミアネヨ、」



「ヒョン、今夜が峠って言われました。ねぇ、ヒョン。明日も仕事ですよね?容態が悪くなったら呼びますから休んでください」



「ごめんね、それは出来ない。Aのそばにいたらだめかな。ご家族がいらっしゃるなら隅でも」



「俺しかいません。家族は、俺しかいません。…だから、ヒョンがそう言ってくれるなら、ヌナのそばにいてください」



「うん、うん…」



おかしいな。いっつも弟達がないても僕は泣かないでいられるのに。みんなの背中をたたいてあげられるのに、どうしてかな。涙が止まらない。



ねぇA



僕から離れていかないで。



僕がいつまでも君の手を握っているから。



だから、お願いだから、まだ僕に足りないものを与えてよ…

夜→←2



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はるこむぎ(プロフ) - たぬきさん» ありがとうございます!そんなふうに言っていただけると書いてよかったと思えます…!追加のお話は今編集しているので、公開までお待ちください! (2019年6月27日 9時) (レス) id: 622422461c (このIDを非表示/違反報告)
たぬき - 書いてほしいです!!番外編?的な裏話!もう、涙腺が崩壊してやばいです!! (2019年6月25日 23時) (レス) id: 2104043d5d (このIDを非表示/違反報告)
はるこむぎ(プロフ) - とまとさん» コメントありがとうございます!94lineも読んでいただいて…!本当に嬉しいです!ジンくんの歌、私もとても感動したので、この感動を上手く伝えられるよう頑張ります!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年6月5日 19時) (レス) id: 622422461c (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - はじめまして!94lineのお話も楽しく読ませていただいています!私もジンくんの歌を聴いて感動したので、このお話がとても楽しみです!更新待ってます! (2019年6月5日 18時) (レス) id: 8d6066aa74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるこむぎ | 作者ホームページ:ない  
作成日時:2019年6月5日 18時

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