_今 夜_ _JIN_

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ピーッピーッピーッ




無機質に響く機械の音がぐるぐる頭の中を回る。



重すぎて開けられないまぶたとは裏腹に冴えた頭と聞こえる弟の声。



「ヌナに会いたいなら、」



言わないようにしよう、って話したのに。



起きたらお仕置きしなくちゃ。



…起きられるものかはわからないけれど。



握られた手とポタリと落ちた水滴に心が締め付けられた。



.



真っ黒な世界に続く浮遊感。



最後に見たのは弟の驚いた顔。



ソクジナからの誘いにはもう行けないくらいに体力は低下しているし、笑ってデートなんて嘘をついて弟と話していた。



5つ下の頼れる弟。いつも私のわがままで振り回してきたかわいい弟。


最後まで迷惑かけちゃうヌナでごめんね。




「ねぇ、ヌナ」



「俺、約束破っちゃったよ。ヌナのことだから怒りそうだけど、でもたまには俺がわがまま言ってもいいでしょ？いっつもヌナの言うこと聞いてるんだからさ。」



「ねぇヌナ、いなくならないで」



「ジョングガだって心配してたよ。父さんも母さんもまだヌナのこと呼んでないよ」



温かさの伝わる手のひらが、ぎゅっと握りしめられる。



いなくならないよと、弟にも、あの時電話で話したソクジナにも伝えたけれど、私は約束は守れるだろうか。

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