8瓶目 恋愛遍歴 ページ14
……ああ、
道化師の話は
ここまでにしておきましょう。
わたくしなんだか頭が痛くなって参りました。
人は誰しも嫌な話の一つや二つあるでしょう？
例えばそうですね。
……失恋の話、ですとか。
メディアやネットが発達したこの世の中、
街中では売り出し中のラブソングが流れ
テレビでは胸焼けするほど甘ったるい
恋愛ドラマが放送されます。
あなたはお好きですか？
残念ながらわたくし、
あまり好きではありません。
何故かと聞かれれば返答に困ります。
なんとなく嫌なんですよ。
……別に、恋人がいないからではありません。
断じて違いますから、
こっちを見ないでくださいまし。
とにかくこの世の中、
わたくしの様な独り身には
不親切な設計になっておりますよ。全く！
……それはさておき、どんなカップルの間にも
それぞれの愛の物語があると思います。
付き合うまでの日々や
告白についての思い出など、
カップルの数だけ物語が存在していますよね。
しかし、実際はそれだけではありません。
カップルになれなかった二人の間にも、
恋をした確かな記憶が残っています。
今回は一つ、甘くて苦い恋のお話を。
ある教室のある放課後、
夕陽射し込む素敵な夕方。
一人の女子生徒がいました。
緊張しながら教室で待っておりますと、
数分後に背の高い男子生徒が
教室に入ってきました。
ドアが閉じると静かな密室に二人きりで、
その静寂の深さは
女子生徒の心音が今にも彼に伝わりそうな位。
彼は彼女に尋ねました。
｢話があるとの事ですが、何でしょうか｣
彼女の緊張が最高潮に達する。
勇気を出して口を開き、
少し震えた声で愛の言葉を紡いだ。
｢……ずっと前から好きでした！
良ければ私と付き合ってください……っ｣
それを聞いた男子生徒はなんだか
とても複雑な気持ちになりました。
今から言う言葉でどんなに彼女を傷付けるか、
考えただけで頭がおかしくなりそうです。
｢……ごめんなさい｣
たった一言、それだけが静かな教室に響く。
おかしな間が何度も何度もだらだら流れて
気持ち悪くなり始めた頃、
女子生徒が泣きながら
教室から駆け出て行ってしまった。
ああ、残ったのはとても苦い気持ちだけ。
……何故こんなにも心情が分かるか？
まぁ、それには理由がございまして。
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ワタクシ(プロフ) - レイさん» いつもお世話になっております……！そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです！これからもよろしくお願いいたします！ (2020年5月11日 22時) (
レス) id: cfda2d1e9e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 本当に綺麗な文章で感激しています！この作品大好きです！これからも応援しています!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: a4e5c10c36 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - 関西人さん» 長いこと留守にしていましたが、貴方様のコメントで励まされました.......！素敵な言葉をありがとうございます。もう一度書きたいと思えました。これからも応援してくださる方のために書き続けますので、何卒よろしくお願い致します！ (2019年10月12日 22時) (レス) id: d168fc46ca (このIDを非表示/違反報告)
関西人(プロフ) - 凄く綺麗な小説ですね！大好きです。もっと早くに知れば良かった... (2019年9月8日 16時) (レス) id: 35e35c5ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - つばさ、別アカ２さん» 返信遅れて申し訳ありません、お褒めの言葉ありがとうございます！諸事情で「きみの瓶詰め」の方は停止中ですが、こちらをお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2019年2月24日 21時) (レス) id: 91d5b5e9ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワタクシ x他1人 | 作成日時：2018年12月19日 20時
