番外編 ページ33
「何故だ……」
何故、ネコロンブスが落ちない!?
投入金額は既に500円になってしまった。
当初の予定では100円で終わると思っていたのに。
ネコロンブスの頭を持ち上げて、クレーンを移動しようとすると、クレーンのアームからネコロンブスが落ちてしまう。
何故だ?
ネコロンブスはそれほどまでに重いというのか?
「お兄ちゃん、取れないの?」
僕の方を向いてニヤニヤと笑っている妹に、腹が立つ。
まるで自分は出来るのにと言っているようで、イラついた。
「もう一回だ。」
そう言って僕はまた財布から100円を取り出す。
「お兄ちゃん、代わって。
無駄遣いは良くないよ。」
Aは、僕の手を掴み、首を振る。
「後少しなんだ。」
ネコロンブスから穴までの距離は大分近くなり、もう間近に穴が差し迫っている。
これは逃したくない。
それに、妹の為にプレゼントをすると決めた以上は、景品を落とすまで諦め切れない。
「じゃあ後一回だよ、お兄ちゃん。」
僕は頷くと、100円を投入し、クレーンの操作を始めた。
クレーンのアームがネコロンブスの頭を掴んで持ち上げて、穴の方に移動し……
「落ちた!!」
6回目でやっと落ちたぞ!
僕は落としたネコロンブスを拾うと妹に手渡す。
「お兄ちゃん……
ありがと!!」
満面の笑みで喜び、ネコロンブスを抱きしめるAに、クレーンゲームをして良かったと、僕は思った。
「じゃあ、次はAね。」
そう言って妹は、ネコロンブスの台に100円を投入する。
「えっ、おいっ!
まだいるのか?」
「うん!
お部屋に飾るのと、プレゼントようでね。
お兄ちゃんが取ってくれたのは、お部屋に飾る用にするから。」
そう言って、妹は、クレーンの操作を始めた。
「なっ!!?」
妹が操作したクレーんは、ネコロンブスよりやや手前に降り立ち、ネコロンブスの お尻に付いているタグにアームが引っかかる。
そしてネコロンブスの体は持ち上がると、穴まで移動し、落ちた。
「……………」
「やったあ!
2個目ゲット!!」
二つのネコロンブスを抱きしめ、Vサインをする妹。
僕の苦労は何だったんだ。
それから僕は、次々に色々なクレーン台で景品を取っていく妹を無言で見ていたのである。
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壱(プロフ) - ちくわさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉を下さり、励みになります。悪の大罪シリーズについてですが、実は知らなくて、すいません……。「悪の娘』とかがあると名前だけは聞いたことがありますが、分からないです。おススメ作品ですか? (2018年6月1日 21時) (レス) id: eca00d5e47 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 面白いです! 悪ノ大罪シリーズとか知ってたりしますか? (2018年6月1日 17時) (レス) id: ae2f86a54b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:壱 | 作成日時:2018年2月18日 8時