番外編 ページ30
妹から行きたい所があると言われて、僕はそこに一緒に行くことにした。
本人曰く、着いてからのお楽しみらしい。
出かける準備をして妹をリビングで待っていると、父が現れた。
「Aと出かけるのかい?」
「ええ、行きたい所があると言われたので。」
父はスーツを着ていた。
どうやら、これから出発するらしい。
僕に話し掛けたことを考えると、多少妹のことは気にしているようだ。
確かにそうだ。
父は妹との約束を破って、仕事に向かうのだから。
「気を付けて行きなさい。」
そう一言残して、父は行ってしまった。
そのすぐ後に妹がやって来た。
「Aその格好は?」
妹は、黒のキャスケットを深く被り、正面から見てキャスケットの右面には、ASNとそれぞれの缶バッジが付いている。
そして、赤いパーカーの中は黒のシャツを着て、下は茶色の短パンとニーハイを履いていた。
髪は帽子の中にまとめているのか、正面から見ると男子に見えても可笑しくはない。
そして、黒のリュックを背負っていた。
「お兄ちゃん、私は今からASNだから。
名前で呼ばないでね。」
「はっ?」
「じゃあ、行こうか。
とっておきの場所に。」
僕の手を握り、歩き始めたAこと、ASNはニヤリと笑った。
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妹が行きたい場所は椚ヶ丘駅前に新しく出来た、ゲームセンターだった。
「ここに来たかったのか。」
「そうだよ。」
ゲームセンターの中に入ると、聞こえて来る機械音に一瞬耳が驚く。
スロットや音楽ゲーム、等から流れてくる音はガンガンに鳴り、この様な場所に中々来ない僕は、正直耳障りに感じた。
それに
こんな場所はAによくない。
ゲームセンターなんて、不良集団の宝庫だ。
大切な妹に悪影響が出たら困る。
「A、違う所に行こう。
ここは良くない。」
「えっ?
私、欲しい物があるんだけど。」
欲しい物?
何だそれは
そう言ってすたすたと歩き始めたAは、店の奥にへと歩いて行く。
何か手慣れている?
僕は急いでAの後を追った。
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壱(プロフ) - ちくわさん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉を下さり、励みになります。悪の大罪シリーズについてですが、実は知らなくて、すいません……。「悪の娘』とかがあると名前だけは聞いたことがありますが、分からないです。おススメ作品ですか? (2018年6月1日 21時) (レス) id: eca00d5e47 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 面白いです! 悪ノ大罪シリーズとか知ってたりしますか? (2018年6月1日 17時) (レス) id: ae2f86a54b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:壱 | 作成日時:2018年2月18日 8時