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無言、無言、無言だった。自転車のタイヤが地面に擦れる音を聞き流しながらも私の頭の中は全く落ち着かない。広い背中に体重を預けながらぐるぐると考えてしまう。
慎太郎、こんなことされたら期待してしまうよ。嫌いってうそだよ、本当は大好きだよ、でもただの幼馴染にこんなこと思われてたら気持ち悪いよね、私だったらただの幼馴染にこんなことさ、気持ち悪いよ。嫌だ、泣きたくないのに、溢れる。どうすればいい？諦められなかった、慎太郎は何を考えてるのかな、私には何もわからないよ。嫌いって言ったやつに、幼馴染にこんなことするかな。だめだ、我慢できない。
ぐっと眉間に皺を寄せたのがもう合図だった。ゔ、と一度喉奥から漏れた声と共に溢れる涙は私の手を伝う。ひく、としゃくりあげてしまう、だめだ、気づかれる、こんなの、だるいよ、ダメなのに。
「…A？」
どうした！？足！？と私が泣いてるのに気がついたのか慎太郎がブレーキをかけて振り向くのにふるふると首を振る。ちがう、足なんか今どうでもいいんだよ。
鼻を啜って慎太郎の顔を見上げれば「え？じゃあなに？」と言わんばかりにキョトンとした顔に私は思わず目を見開いて「なんで？」と溢してしまった。
「ち、がうに決まってるじゃん！」
「ええ！？じ、じゃあなに？ごめんって！」
何で怒ってんの！？と慎太郎が焦り出すのに「全部違う！」とぐしゃぐしゃの声と顔のまま慎太郎の肩をばしんと叩けば「え、え〜…」とさらに意味がわからないみたいな顔をする。違う、足のことなんかじゃない、泣いてるのは、泣いてるのはさあ！そんなの、こんなことばっかりしてくるからじゃん！
ぎゅうと唇に力を込めて一度強く結べば慎太郎は何も言わずにこちらをどこか不安そうに見て「…泣くなよ」と雑に頬を伝う涙を拭ってくる。だめだ、もう言っちゃう、我慢できないし諦めることなんて結局できなかったよ。慎太郎、泣いてる理由には全部慎太郎が思ってることが違うことも含まれてるよ。ああ、関係も全部壊れちゃう、全部終わってしまうってわかってる、分かってるのに。
「…好きなの、松村くんじゃないよ」
「え？」
「わかんなかった？全部違う、わたしが、私が好きなのは、」
「A、やめて」
お願い、そう苦しそうな顔で笑う慎太郎に言葉は遮られた。じいと私の目に慎太郎だけが映る、慎太郎にも私が映っている。…これ、完全に終わったやつ、だ。この雰囲気、「私が好きなのは」で慎太郎しかここにいない、慎太郎のことを見ていて、ってことは、告白される時のやつだって、慎太郎は流石にわかっているはずなのに。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
