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あれから慎太郎とは話していない…というか逃げているというか。卑怯な私は最後まで何を伝えるわけでも、慎太郎の勘違いを否定するわけでもなく「嫌い」とだけ告げて逃げた。このまま全部終われればいいのに、なんて自分勝手で最低だ、どこかで蹴りをつけるための自己満足だったのに最後まで私はなんなんだろう。
そう思いながら悶々とした日々を送っていれば、あの日慎太郎と来た駅前まで用事があり、思い出に蓋を必死にしながら歩く。思い出してしまう、全部、楽しかったことも、電車を降りたあとのことも。
「…あ、そうだ」
ここで思い出したが、私は欲しいネックレスがあったんだった。せっかく来たしな、と思いバイト代も入ったことだしと店舗の入り口を潜って、それで、
「…な、ない」
呆然、がらんとしたガラスケースの中を見て私はぼんやり口を開けるしかできなかった。売れ、ちゃったんだ、そうだよな、可愛かったしな、ていうか元々私に似合う感じのじゃなかったし、もっと可愛らしい女の子というか、そういう人に似合うやつだったから、いいのかも。
「あ、ごめんなさい…それ売れてしまったんです」
ついこの間なんですけどね、すみません！と横から顔を覗かせた店員さんが頭を下げるのに「いやいや！全然！そんなこと！」と慌てて手を振る。「どんな人が買ったんですか？」可愛い女の子だったんだろうなあって思って！と興味本位で店員さんに問い掛ければ「…いや、男の子でしたね」と首を傾げる。
「男の子？プレゼントなんですかね？いいな〜」
「でもそれがプレゼントですか？よろしければ包装しますよ、って言ってもどうなんですかね〜今の俺から貰っても嫌かもしれないですって笑うだけだったんですよね」
あげたくてもあげられなくなった、みたいな感じに見えましたけど…あ、すみません、話しすぎました！と随分フレンドリーな店員さんなのかころころ変わる表情がかわいい。…そのネックレスを買った人はうまくいけばいいな。全部終わる前に、時間が経ちすぎてすれ違う前に渡しちゃえばいいよ、そう思って店舗を後にしようと店員さんに頭を下げれば「あ！そういえば！」とひとつ思い出したようにぱん！と手を叩いて「イケメンでしたよ！すごく！」背が高くて〜なんか笑顔が素敵な感じの！と笑うのに「へえ！いいですね！」と返して「また来ます」と頭を下げる。
「…慎太郎みたい」
口調も、笑顔が素敵なかっこいい人なんて、私は慎太郎しかしらない。ネックレスなんて、慎太郎が買ったわけないのに。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
