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小さい頃はむしろ嫌いだった気がする。絵本を読みたいのに「Aあそぼ！」とドロで汚れた手のまま私の手を握ってくるのに「慎太郎の手きたない！おかあさん！」とギャアギャア騒いでいた気がするし、花冠を作ろうとしたら「花？何が楽しいの？」そんなことより鬼ごっこしよう！と割り込んでくるしで全然自分の好きなことで遊べなくてなんで家が近いだけでこんな目に遭わなきゃならないんだと小さいながらに恨んでいたのを今でも覚えている。まあやんちゃすぎる慎太郎と半ば強制的に毎日のように外で遊んでいたおかげかなぜか運動はできるようになったのでそこは感謝。
でも思い返せば思い返すほどなんで気づいたら慎太郎のことが好きになってしまったんだろうと悩んでしまう。うるさいし、いろいろ雑だし、レースのついたスカートを履いていれば「どこからこんなスカートとってきたの？」隣の家？とか言ってくるのはむかつくし。でも慎太郎と一緒にいた時間は残酷なぐらいに自分の気持ちを理解するには少し多すぎた。小学生の時にモテる男の子は「足が速い男の子」だった、中学の時は「ムードメーカーの男の子」だった、高校生の今は「かっこよくて話が面白い男の子」がモテている、全部、慎太郎だった。
だから彼女だっていたし私だって私に彼氏がいたことだってある。でも最低な私は完全に慎太郎への当てつけで付き合っていた。彼女ができたと風の噂で、時には慎太郎の口から直接聞くのに最初は「ふーん、慎太郎彼女いるんだ」とだけだったのに、気づけば「…いいなあ」に変わっていたし。今はお互いいないはずだけど多分慎太郎はすぐに彼女できる、モテるし。でもしばらくというか結構長く彼女いないよな〜好きな人でもいるのかな、と少し俯瞰的に考えられるようになったのは諦めなのか、違うのか、もうわからない。
でももう振り向いてもらえるような関係性じゃないことなんてわかってる。その視線の先が私になる夢すらまともに見られない。気持ちの消化方法をずっと考えてたよ、やめたい気持ち、諦めたい気持ち、疲れたのかな、ちがうのかな、でももう、いいよ。
「…最後に、これだけ」
私か考えた消化方法はこれだった。好きな人にすること、私は慎太郎にしたことがない。可愛い服を着る、連絡を取ってみる、そういう類のこと。隣にいるのが当たり前すぎてしてなかったこと、してみるだけ、それで終わらせる。夢を見るのは、もうやめる。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
