[第五人格]愛なんて。[短編集]

事故チュー(1)*探鉱者* ページ8

「…オイ待てコイツ！大人しく捕まれっつーの！」

「だーはははッ！捕まるもんか！このまま5台分チェイスしてやるもんねーッ！！」

ダンッ、と窓を乗り越え加速する。
相手はピエロさん。ロケットダッシュさえ気を付ければなんとか逃げ切ることも難しくない…はず。
現に今、3台解読済みで此方には心眼がいる。楽々の楽と言っても過言ではない。
ピエロはというと私に対して相当お怒りのご様子。
絶対にお前だけは吊るという確固たる意志を感じる。怖っ。

「ハァッ、はひ、も、もうダメかも…」

「やっと捕まる気になったかよ…ッと！？テメ、いい加減に…」

次の瞬間、バチーンというかバシューンというか、とにかくそんな身体が飛ばされる感覚が襲う。

驚いて後ろを振り返ると、まぁるい鉄の重りみたいな物を持った新人さん。
座った目でピエロが飛んで行った方向を見つめ、「早く逃げて。」と短く呟く。
3秒くらいポカンと呆気に取られていたが、ハッとして慌てて走る。

ドックン、ドクン、と大きくなったり小さくなったりする心音を聴きながらあの彼は大丈夫だろうかと考える。
見た感じヒョロヒョロであまりチェイスに向いていなさそうに見えたけど…あの脳筋バカ達とは違う感じのチェイサーなの？それともただカッコイイ所を見せたかっただけ？

うーん、と唸っている間に心音が完全に消えた。
おっラッキー、と思いつつ仲間の所へ向かい最後の暗号機を手伝う。どうせ中治りがあるから、と誰も治療してくれなかったから仕方無くだけど。

ガチャコン、と音が鳴るのと同時にゲート開放のサイレンが鳴る。
あの彼はまだチェイス中か、ダウンして吊られても逃げられるな。

「ゲートが開いたわ！…もう1人はどうしよう。A、見に行ってきて頂戴よ。」

「ヘレナ？相手は引き留めに来るかもしれないんだよ？ダウンするよ？アンタ鬼畜？」

「あら、天下のチェイサーA様なら容易いと思うのだけれど…私の思い違いかしら？」

「よぅし言ったな？…私が全員逃がしてあげる。先に行ってて。」

そう告げると柔らかい笑顔でコクリと頷き、ゲートの奥へ走っていく。
…よし、ここからが本番だ。

事故チュー(2)*探鉱者*→←聞く耳持たず*写真家**白無常*

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