[第五人格]愛なんて。[短編集]

聞く耳持たず*写真家**白無常* ページ7

「はぁ〜…貴女の身体は本当に柔らかくて心地が良い…。何時までもこうしていたいくらいです…」

「それは結構。君の首と胴が泣き別れになっても構わないのであれば何時までもそうしていればいいよ。今すぐ彼女から離れろこの薄汚い亡者めッ！」

「あまり大きな声を出さないで下さいよ。ほら…Aが怯えてる。」

「どっちも怖いよぉ…」

ぎゅむぎゅむと後ろから抱きつかれるという名目で圧力を掛けられ、前からは人1人ぐらいぶち抜けそうな程鋭く尖った目付きで睨み付けられる。

ギギギ…と今すぐにでもサーベルを後ろの彼に振り下ろしそうな勢いだ。おっそろしい。
対する白い彼は余裕そうな笑みを浮かべて傍らに有る黒い傘へ手を伸ばしている。
完全に臨戦態勢だ。正直私を挟んでのソレは死ぬかもしれないので止めて欲しい。切実に。

「あのぅ…私はどちらも愛しているので止めて頂けませんか…そろそろ苦しい…」

「聞き間違いかな、今『どちらも』と聞こえた気がしたんだが。どちらもではない。僕1人だけを愛さなきゃいけないんだよ君は。まだ分からないのかい？」

「欲塗れですね。嫉妬に狂った男程見苦しいものは無い…ふふ、私達と一緒に何処か遠くへ行きましょうA。寂しい思いも、ましてや束縛など無縁の所へ。」

「黙れ外道。彼女を誑かすな…！」

「だから私は誰とも何処にも行きませんし誰も特別に好きな訳じゃ無いんですってば！みんな平等！ジョゼフさんも謝必安さんも好きなんです！」

言わせんな恥ずかしーッ！と顔を真っ赤にして思いっきり叫んでしまう。
これには二人とも呆気に取られた様でポカンと間抜け面晒してフリーズ。

それでも次の瞬間には肩をガシリと掴まれ、後ろから加えられる力は2倍ほど強くなり思わず「ヒェッ」と間の抜けた声を漏らしてしまう。


はぁ、と耳元に掛かる熱い溜息にゾゾゾ、と背中が粟立つ。
わざと私の耳に吐息がかかるような喋り方で「A」と名前を呼ばれる。

「やっぱり私達は両想いじゃないか…。今まではきっとそう、照れ隠しだったんですね…？嬉しい…」

「とうとう言ったな…私以外に好意を寄せているなんて…！おぞましい、君は私を愛さなければならないのに…ッ」

「ひっ、ひぇ、何、そんなつもりじゃな、」

否定しようと口を開き、遮られる。
後に残るのは聞く耳を持たない彼らの言葉のみ

「好き、好き。愛してますA。何処へも行かないで、私達と永遠に此処に居ましょう。」

「私だけと言っておくれ。」

事故チュー(1)*探鉱者*→←囲まれる。*納棺師、占い師、傭兵*

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