[第五人格]愛なんて。[短編集]

女子会*女サバイバー* ページ27

「大丈夫？サイズ合ってる？特に胸の辺りとか緩いんじゃない？」
「いいえ、寧ろキツイわ。緩いのはズボンの方。特に太ももとお腹の辺りがガバガバよ。もう一回り小さいサイズは？」
「ちょっとウィラ…言葉使いが良くないわ。」
「すげぇー、女の喧嘩だ〜！」

ギャハハと転げ回るトレイシーをよそ目に皮肉合戦を続ける。あーだこーだと互いに常日頃感じていた鬱憤を吐き出し続け、ついには胸倉を掴み合う事態にまで発展した。手は出さないけど。

「嘘だね！お前の方がデブ〜！この貴族気取りの女狐！」
「何ですって…！？ちょっと、離しなさいよデブ！豚足！」
「何よ風船尻！もげろ！」
「2人共言い過ぎよ！一旦落ち着いて…」
「ねぇ何の騒ぎぃ？煩いよォ」
「デミさん…この2人酔っ払ってるの。何とかして頂戴。」

アハハ！と頭に響く甲高い声に目線を移すと、酒瓶片手に腹を抱えるデミ。
「バカだねぇ。アタシに言わせりゃどっちもデブだよ。酒止めな。」とごもっともな意見を頂き怒りは鎮静化したが、それでもやっぱりこの女には腹が立つ。
あかんべぇしてやった後、揺れる地面をどうにか歩いて親友の元へ向かう。

「ねぇパトリシア、私悪くないでしょ？ねぇねぇねぇ。」
「うわぁこっち来た。帰りな酔っ払い。パティは今貸切中よぉ。」
「フィオナちゃん酷いよぉ。」
「フィオナ、意地悪はよして。一緒に話しましょ、A。」
「パトリシア…」
「ねぇ感動してる所悪いんだけどさァ、アンタの友達捨てられそうになってるけど良いの？」
「は？」

ん、と瓶で指された方向を見ると、私のパペット(レオさんに貰った)を片手にウィラが窓を開けていた。
声にならない悲鳴を上げて立ち上がるも、ウィラが窓から手を突き出しあかんべぇ顔で私を睨む。

「ちょちょ、バカ何してんのよ離しなさい！返して！」
「お人形が友達だなんて子供かしら？いい加減大人になる良い機会でしょ。手伝ってあげる。」
「ねぇこれ私にも喧嘩売られてるのかなぁ。」
「黙ってトレイシー！」

ふん、と鼻を鳴らした直後、手から離れた私のパペットは一直線に下へ。
ここは2階、外には雪が積もっている。人形が傷むこと間違いなしだ。
私以外誰も注目していない中、人形は下へ、下へと落ち、地面へ

「おぅい、この可愛らしい人形は一体誰のだい？」

とはならず、誰かがキャッチしたらしい。誰？
下を見ると写真家の方が手を振っていた。

「ジョゼフさんだ…」

そう呟いた直後、5人程が部屋を飛び出して行った。

隔たり*血の女王*→←救われない*使徒*

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