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「な、なぁ君、君Aだろう。そうだろ、ねぇ、待って、僕は」
「う、わっ、何、近寄るなっ!ハンター!!その手で私を切り刻むつもりだろ!!来るなァ!誰かぁ!殺されちゃ…」
「黙れ黙れ黙れって!!僕はアイツとは違うんだよ!なぁA、まって、」
深夜、外に放っぽり出された私物を取りにしぶしぶ渡り廊下を歩いていると、見覚えのあるコートと出くわした。
先の試合での仕打ちを思い出し、身体の芯がヒヤリと冷える。
慌てて叫びながら引き返そうとすると物凄い力で首を掴まれ、物陰に引きずり込まれて押し込められた。
死んだ、と諦め全身の力を抜く。
だが逆にそれが彼の心を鎮めたのか、「僕の話を聞いてくれ。」と真剣な表情で話し始めた。
「君と僕は親友なんだ。憶えてない…だろうな、うん。いいさ、問題はどうして君がここに居るかだよ。あの時君は僕の家を出て、そのあと小説で成功してたじゃないか」
「…なんで知ってる?私貴方に話した?それより首が痛いんだけど…」
「我慢してくれ。何故ここに居る?目的は?」
「し、死んだ親友を探しに来たんだよ。でも顔を忘れちゃって…アレ?貴方って私の親友?て事は顔を忘れた親友っていうのは貴方?え、じゃあ探してたのは…」
「流石稀代の小説家!感が鋭くて助かる!君のいい所はそこだけだな…本当に…。いいかい、良く聞いてくれ。僕はここに居たくない、君は親友が見つかった。此処を一緒に出よう。」
「まって、話が早すぎる。そもそも本当に君が親友なのかどうかも…」
「時間が無いんだよッ!」
ぜぇ、と息を荒くしながら叫ばれた。
唖然とした顔で見つめると、汗だくの顔が苦痛に歪み始めた。
そのままうぅう、と唸って蹲りぶるぶると震え始めたので恐る恐る背中を擦る。
すると、ピタリと震えが止んだので「大丈夫か、」と顔を覗き込む。
「ハ?アナタ此処で何を?」
白骨。
目玉の無い窪んだ骨がこちらを向く。髪もない。口も、鼻も無い。
ゲームで見るのと同じ顔。
「アァなんだ…また彼か…いや、お騒がせしましたね。戻って良いですよ。」
「え、え、なんで、顔、」
「…ビックリ?中々見目が良かったでしょう。私もあの顔が欲しかったのに、アイツ、」
尻もちをついた私を見下ろしながら呟く。
突然の変貌に頭が追い付けず、尻もちをついたままの私を見つめて
「…勿論貴方も欲しかったんですよ、えぇ。」
と一言言い残し、さっさと私を跨いで出て行った。
愛であれよと願うばかりです。:白無常→←死を持って初めて意味を成す。:納棺師
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すぴお - 待って最初の弁護士で腹筋ログアウトしました最高ですアザスありがとうございます応援してます!!! (2020年4月25日 0時) (レス) id: 5763911021 (このIDを非表示/違反報告)
お豆腐(プロフ) - ちょっとダークな雰囲気で世界観めっちゃすきです!夢主に感情移入しすぎて痛いw (2020年3月4日 1時) (レス) id: 4dd9818095 (このIDを非表示/違反報告)
もゆう(プロフ) - 金魚丸さん» どえぇええありがとうございます………………ありがとうございます…………。喜んで書かせていただきます………… (2020年1月26日 19時) (レス) id: 2412a78293 (このIDを非表示/違反報告)
金魚丸(プロフ) - はじめまして…!キャラの特徴だったり世界観だったりとっても大好きです…!新ハンターのアンさんが夢主ちゃんにだけめちゃくちゃ優しい…みたいなお話が見たいです、もしリクエスト受付中であれば是非お願いします!これからも陰ながら応援しています…! (2020年1月26日 15時) (レス) id: 0008ec1201 (このIDを非表示/違反報告)
もゆう(プロフ) - 綵宇さん» ぁああありがとうございますめちゃくちゃ嬉しいです……タダでは起き上がらない精神の持ち主じゃないと楽しい荘園ライフを送れないと思って意識して書いたので気づいて頂けて感激です……!!これからも更新頑張ります〜! (2019年12月26日 21時) (レス) id: 2412a78293 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もゆう | 作成日時:2019年6月9日 18時