[第五人格]愛なんて。[短編集]

玩具:血の女王(痛めつけたいサバイバー第1位) ページ15

新しい衣装が支給された。
いつもより華やかで、明るくて、綺麗な衣装。
普段と違った服装に少しドキドキしつつも褒めてくれたみんなの為に頑張らなくちゃ、と気合を入れる。

もはや常習となった拷問行為や嘲りも大した問題ではない。耐えれば、耐えれば終わるから。

「アラ、ねぇAさん。本当に綺麗だわ。特にその瞳。綺麗な深い青色ねぇ。…待って、赤のようにも見えるわ。面白い！」

「あぁ本当だわ。なんて綺麗なの！」

可愛らしい甲高い声が小屋中に響く。
他の誰でもない、声が。

透き通った鏡の身体で私の顔を掴みあげ、瞳を覗き込む。
ナイエルさんは私を押し退けて遠くへ走って行った。

私の顔から手を離し、くるりと1周回った瞬間ドクンドグンと心音がけたたましい音を立てて鳴る。
真っ赤なドレスに青白い肌。まるで全身の血液を使ってドレスを染めたような、感じの。

「ねぇ、ねぇ！貴女の目よ。美しいわ。ねぇなんて綺麗なの。他の子達はそれほど好きじゃないんだけど、貴女は別ね！」

カツリカツリと綺麗な足音を響かせて私の周りをグルグルと歩き回る。
「良いわね、良いなぁ。私の人形でさえこうはならなかった。やっぱり技術の差かしら。」とブツブツ呟いた後、突然顔を明るくさせ

「そうだわ！ネェ、貴女のその目、1つ私に下さらない？良いわよね、貴女方は補充があるもの。」

ぶちり。
返事を待たずにまるで取れかけのボタンを引きちぎるかの如く私の目玉をくり抜いた。

一瞬意識が飛んだ。
ぐるりと残った目玉が半回転するのを感じ、頭が支えを無くしたようにぐらつく。

「あぁ待って、待って。まだ壊れちゃダメよ。あぁもういっつもこうね私ったら。すぐ壊しちゃう。代わりはないのに。」

私の目玉を摘みながら鏡刃で太ももを刺す。
意識が強制的に戻され半分無い視界で自分の目玉を見た。

「はっ、あ゛っか゛、」

「アラ声は可愛くない。黙ってて良いわよ。」

ぐぷ、ずる、つぷる。

喉が裂かれ、血が空気と混ざり合い溢れる音を聞きながら今度は本当に死ぬのだと思った。
痛みを叫ぶ事もできなくなり、「本当に綺麗ね！ありがとう。貴女の名前を覚える気はないけれど、確か役柄があったわよね。それは覚えといてあげるわ！」と楽しそうな声で頭を撫でられた。

「なんだったかしら、えぇと…」

「っ、ふ、ひゅう、こぷ、」

「えぇなぁに？聞こえない。死んだんじゃ喋れないでしょ。名前を聞こうと思ってたのに…」

死体を見下ろしながら残念そうに呟く。

画家と私。:ジャック(リッパー)→←夢の中に出てくる人*納棺師？*

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