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「や、やめて、ニグマさん」
「何故僕が君の言う事を聞かなくちゃならないんだ?それとリドラーだ。二度と間違えるなよ。」
「女の子に容赦無いわね。少しは手加減してあげたら?」
「いいやエド。そのまま殺そう。だって君には必要ないだろ?」
やっと、やっと。積年の恨みを晴らせるのだ。
コイツが僕とクリンゲルさんの邪魔をしなければリドラーが誕生する事もなかった。全てコイツのせいだ。
情けなく涙を流して震える彼女の胸倉を掴み上げれば、ヒィ、と短く小さな悲鳴を漏らす。
その様子が本当に面白くて思わず笑いが込み上げて来、ひとしきり笑った後、「何故僕とクリンゲルさんの邪魔をした?」と問えばきょとんとした顔で何?と口を動かす。
「何故!僕とクリンゲルさんの仲の邪魔をしたんだ?!答えろッ!」
「なに、邪魔?なにぃ、知らない、なんの事、で、すか」
「いつもいつも会話の途中に割り込んで来たじゃないか!」
すると彼女は鼻声でこう答える。
「だって、だって、貴方と話せるクリンゲルが羨ましくて、」
「…何?」
「私は貴方が好きで、ずっと好きだったの。だから話ができる彼女が羨ましかったの。」
僕の事が好きだった。
あまりの衝撃に思わず掴んでいた手を離す。
ゴホ、と咳き込みながら床に座り込む彼女を見下ろし、言われた言葉の意味を整理する。
「僕の事が、」
「えぇそうよ。好きだった。本当に。でもまさかそんな風に思っていたなんて。」
「だったら最初からそう言えば、」
「あんなに冷たい態度を取られて言える訳ないじゃない。誰だって希望は無いと思う筈だわ。」
ワォ、と後ろの方でからかうような声が上がる。
目の前で蹲る彼女の目には涙が浮かんでいた。
カラカラに乾いた口をどうにか動かし、張り付くような喉を無理に震わせ問いかける。
「まさか、今でも僕のことを」
最後まで言い切らないうちに彼女が口を開く。
「そんな訳ないでしょ。バカじゃないの。」
恐怖と軽蔑の混じった声で突き放される。
バケモノを見るかの様な目。
「だって貴方はリドラーなんでしょう。私が好きなのはエドワード・ニグマなの。」
追い打ちをかけるように彼女が言葉を続ける。
「変わった貴方は好きじゃない。」
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岡P(プロフ) - 初めて読ませて頂きました。どのお話もとても面白く楽しませてもらいました。これからも素敵な作品楽しみにしています。 (2022年3月9日 21時) (レス) id: eaa010ae17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もゆう | 作成日時:2020年4月30日 21時