続き ページ8
*
「昨日、迷惑かけたんでこれぐらいさせてください」
本を何冊か持って、別の所へ持っていった後輩君。
確かに男の人がいれば作業は楽になるため、少し甘えることにした。
『あ、後輩君。それはそこじゃないよ』
「ショッピでいいです。んで、これはどこっすか」
後輩君、ショッピ君はテキパキと働いてくれた。
グラウンドでサッカー部が活動してる様子は無く、恐らく休みなのにここへ来てくれているんだろう。
……コネシマ君がサッカー部だった気がするから、ショッピ君も同じだよね?
「先輩、終わりましたよ」
予定時間より早く終わり、本当に彼に感謝している。
私が礼を言うと、少し視線をそらされた。
『今日はありがとう、助かった』
「え、っと、お役に立ててよかったです…」
『残りの時間は、私は本読むから帰っていいよ』
「じゃ、あ、お言葉に甘えて……」
彼は最後まで目を合わしてくれず、そのまま帰って行った。
最後の方、言葉が途切れ途切れだったのは何故だろうか。
「なぁなぁAさん」
『…なに?』
「好きな本って何?」
『何でも読めるけど、SFはあまり読まないかな』
「ふーん」
ショッピ君と絡んだあの日から、何故かコネシマ君が私に質問をしてくる。
キャピキャピ系女子に恨まれたりはしないが、私の時間を邪魔しないでほしい。
「Aさん」
『…今度はなに』
「好きな人おる?」
『…いるわけないでしょ』
私が答えると、彼は少し嬉しそうにしながら何処かへ行ってしまった。
本当に何なんだろうか、正直迷惑だ。
Syp視点
あの日、俺はA先輩に惚れた。
いや、初めて見たあの時に一目惚れした。
「アイツ、好きな人おらんねんて」
「本当っすか!?」
「てか、そろそろAさんからの好感度下がりそうやねんけど」
知ったこっちゃない、俺はただコネシマ先輩を利用させてもらってるから。
…あの大人しさ、笑顔、冷たさ、全てが愛おしく感じる。
情報量は少ないが、絶対に手に入れてみせる。
「てか、第一印象最悪なんちゃう?」
「分かってますよ」
初めて先輩と出会った時、俺はクソ先輩と喧嘩していた。
前から彼女の事を知っていれば、喧嘩など恥ずかしい事しなかったのに……。
「ッ、可愛い…!」
「ベタ惚れやないかい」
遠くから見える静かに本を読むA先輩の仕草、とても可愛らしい。
…第一印象が最悪でも、なんとかして俺の彼女にしてみせる。
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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)
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