【d!】Lots of stories【短編集】

第一印象をぶち壊せ syp ページ7

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私が君を初めて見たのは、あの日の夏でした。

「暑っつい」

そう言いながら図書室に入って来たのは同じクラスのコネシマ君、クラスの中心人物。
図書委員であり、地味な私はチラッと見てすぐに本に視線を戻した。
彼も私に興味が無いみたいで、暫くは静かだった。
そう、あの子が訪れるまでは。

「見つけましたよ、クソ先輩」

ドアを勢いよく開け、コネシマ君の事を"クソ先輩"と呼ぶ彼に驚いた私はビクッとしてしまった。
コネシマ君は嫌そうな顔をしてるし、あの子は眉間にしわを寄せて不機嫌そうだった。

「涼しいからってここに居座るつもりですか」
「き、休憩中やからええやんか！！」

私に気付いていないのか、2人は喧嘩を始めた。
うるさい中本を読むのは慣れているため、暫く放置して本を読んでいた。

「___！！」
「＿＿＿！？」

喧嘩の内容に興味は無いし、関わりたくなかったけど閉める時間はやって来る。
私は本に栞をはさみ、仕方が無く2人に近づく。

「だから言ってるじゃないっすか！！」
『…あの』
「ショッピ君はほんまに俺に突っかかるの好きやなぁ！？」
「こっちは好きでやってるんじゃないんすけど！！？」
『…聞いてます？』

思ったよりヒートアップしており、私の声など届いていないみたいだ。
少し離れてどうしようか悩んでいると、思い切り誰かが机を叩いた。

『あ』

その振動で適当に積み重ねられていた本の山は崩れ、ドサドサと大きな音を立てて落ちた。
その音でやっと2人は正気に戻ったみたいだ。

「え、あ、すみません！！」
『いえ、大丈夫ですよ』
「えーっと、同クラのAさんやんな。ほんまごめん」
『…大丈夫だから、早く部活に戻ったら？』

私がそう言うと、コネシマ君は時計を見てすぐにここから出ていった。
後輩君は礼儀正しく頭を下げ、少しこちらを気にしながら去っていった。

『…明日でいっか』

私は邪魔にならないところに本を置き、明日戻そうと思い図書室から出て鍵を閉めた。











そして次の日、1人で本の整理をしていると図書室のドアが開いた。

『君は、昨日の……？』
「えっとA先輩、ですよね」

現れたのは昨日、コネシマ君と喧嘩していた子だった。
本を借りる人は殆どいないため、何しに来たんだろうと思っていると、机に置かれていた本を手に取った。

「整理、手伝います」
『申し訳ないよ。そもそも、君は図書委員じゃないし』

彼は申し訳なさそうに微笑んだ。

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