続き ページ38
*
そして迎えた卒業式。
正直、眠気が酷くて校長先生の話とか覚えてない。
宇宙の話をしていたのは覚えてるけど。
…でも、シャオロン君が前に立つ答辞は頑張って起きた。
もう、彼の声を聞くのは最後になるだろうから。
……まぁ、欠伸はしたよ、眠気に勝てないもん。
教室に帰ってきたら、担任の先生は号泣。
私は泣かなかった、欠伸で涙が出たくらい。
クラスの過半数は泣いてたけど、私は悲しくもならなかった。
ちらっとシャオロン君を見ると、彼も泣いていた。
「…A、今までありがとう」
『こちらこそありがとうございました』
先生からの手紙を受け取り、読んだら胸をうたれた。
涙が出そうだったけど、すぐに引っ込んだ。
心はあるよ、ただ涙腺が強いだけ。
卒業式の日の席は出席番号順になってて、シャオロン君とは離れてしまった。
だからもう、話していない。
近づけたのは背の順で並んで、学校から出ていく時ぐらい。
「D組集合!!写真撮るよ!!!」
学校の近くにある公園で解散することになっていて、階段に座って写真を撮った。
そこで同クラの友人とは別れ、別クラの友人を探した。
「シャオローン!!!写真撮るぞ!!!」
「おう!!」
時折、彼の姿を見つける。
顔を見ると笑顔で、楽しそうだった。
…写真を撮りたい、なんて思ったけど無理だった。
そこまで仲良くないし、シャオロン君にとって私はただのクラスメイト。
連絡先は知らないし、進学先は高確率で別になる。
……私学を受ける時、同じだったのは嬉しかったけど。
『…シャオロン君』
告白する勇気は無い。
それにしたって、どうせ別れるんだから。
これは仕方が無い、仕方が無いんだ。
「Aー、エミ先生に挨拶しに行こー」
『今行く!』
すっと、シャオロン君とすれ違う。
…生徒会メンバーで撮るって言ってたな、いいな。
でも、この心は捨てなくちゃいけない。
この恋は忘れなくちゃいけない。
『今まで、ありがとうございました』
「こちらこそありがとうございました」
大好きな先生達に最後の挨拶をする。
写真を撮る際、後ろにシャオロン君がいた。
『……』
…卒業したいってずっと言ってたけど、なんか嫌だな。
そう思っても、もう無理なんだ。
『さようなら』
先生と、その後ろにいるシャオロン君に向けて笑顔を作る。
…ばいばい、シャオロン君。
君の笑顔と共に、君への想いを忘れれたらいいのに。
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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)
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