続き ページ33
*
「まぁ、形をハートにしてくれるだけでもいいんで」
『はぁ…』
とりあえず、好意を抱かれてるのは分かった。
気持ちに答えなければショッピ君が可哀想だ、何となくそう思う。
しかし私は彼をどう見ているか、自分でも分からなかった。
暫くショッピ君との会話が続いていると、キッチンの扉が開いた。
「A……って、なんでショッピ君がおんねん」
「別に疾しいことはしてませんよ?」
「そんなんはええねん。はよAから離れろや」
ゾムは私からショッピ君を引き離すと、何故か私を抱きしめた。
この様子を見て、ショッピ君はニヤニヤしている。
「見せつけんとってくださいよ。Aさんはゾムさんのじゃないでしょ?」
「これからや、これから」
「もしかしてゾムさん、Aさんからチョコを貰えると思ってるんすか?」
「はぁ?どういうことや!!」
『ちょ、ちょっと…』
こんな狭い所で喧嘩なんてしないでほしい。
まだ作り途中のやつもあるのに……。
「Aさん、当日はゾムさんにクッキー渡すみたいですよ」
「…そうなん?」
『だって、ゾムはチョコ苦手って聞いたから…』
そう言うと、ゾムは私を抱きしめる力を強めた。
「嫌や、俺もチョコ欲しい」
『で、でも……』
「好きな子からはチョコがええ、頼む」
『…ゾムがそう言うならそうするよ』
そんなにチョコにこだわる必要があるのだろうか。
そう不思議に思っていると、ショッピ君は悔しそうにこう言った。
「せっかくのチャンスやったのに………」
『チャンス?』
「Aは知らんやろ。クッキーをあげる意味は"友達でいよう"ってことや」
「だからAさんにゾムさんに"そういう目で見れない"って言わせれると思ったのに……」
ショッピ君、結構酷いことするね。
ぼーっとしているとゾムは私を離し、すぐに私の右手をとった。
「改めて言うで。俺はAが好きや、やからバレンタインの日に本命チョコくれへんか?」
ゾムは真剣な目で私を見つめる。
少し戸惑っていると、ショッピ君は私の左手をとった。
「さっきも言いましたけど、俺もAさんが好きです。本命チョコ、くれると期待してますね」
ショッピ君は余裕の表情で私を見つめる。
どこからそのような余裕が出てるのだろうか。
「A」
「Aさん」
「「当日、待ってるから」」
バレンタインまであと3日。
それまでに答えが出るだろうか。
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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)
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