【d!】Lots of stories【短編集】

君の大切な日 zm ページ31

＊



寒い、寒すぎる。
ずっと布団から出れない、無理寒い。
関東辺りは雪が降ってるんだっけ、こっちは降ってなくてよかった。
そう思いながら布団の中で温まっていると、スマホが音を鳴らした。

『…誰や』

充電コードを抜き、起動させてアプリを起動させる。
そしてさっき届いたメッセージを見た。

《今日暇？》

相手はゾムだった。
私は楽な体勢にして、返事を打った。

《ないよ》

返信するとすぐに既読がついた。
そしてすぐに返事が来た。

《俺の家に来ん？》

友人からの誘いなら断っていたが、今回はゾムからの誘い。
最近はお互い忙しかったから会いたいし、彼氏彼女らしくイチャイチャしてみたい。

《準備に時間かかるかもしれないけどいい？》

《ええよ》

《じゃあ行く》

私は無理やり布団を剥ぎ、クローゼットを開けた。
久々に会うんだし、ちょっとぐらい着飾りたいよね。
…あ、でも、家で何するんだろう。
今は午後4時、ゾムの家は少し離れてるから着くのは夜になる前かな。

『…楽しみだなぁ』



ー


ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
「ん、あがってええよ」
『お邪魔しまーす』

インターホンを押すとゾムはすぐに出てきた。
家へあがり、私は上着を脱いで鞄と一緒に邪魔にならないところへ置いた。

「久しぶりやな、A」
『久しぶり。元気にしてた？』
「んー…ぼちぼち」

そう言いながらゾムは私にココアを渡してくれた。
外はすごく寒かったから有難い。
ゆっくりココアを飲んでいると、ゾムは少しソワソワしながら隣に座った。

『そういえば、なんで今日呼んだの？』
「え、知らんと来たん！！？」
『…今日、何かあったっけ』

今日は何日だっただろうか。
バレンタインはまだなのは分かる。

「な、なら、他のやつに祝われてへんの？」
『一応？』
「…じゃあ、俺が１番ってことか」

そう言い、ゾムが後ろから取り出したのは小さなプレゼントだった。

「お誕生日おめでとう、A」

へへ、と少し照れくさそうにゾムは笑う。
プレゼントを受け取り、中身を見てみる。

『…綺麗』
「せやろ？Aに似合うと思ってんよ！」

中にはイヤリングが入っていた。
銀色の金属に小さなペリドット、小さくて可愛い。

『誕生日忘れてた…ありがとう、ゾム』
「……こっちこそ、生まれてきてくれてありがとうな、A」

ゾムは嬉しそうに笑った。

バレンタイン戦争前 zm＆syp(ﾘｸ)→←彼女はとても美しい gr

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