不安、心配 zm ページ4
*
「A、A」
ソファーに座り、テレビを見ていると後ろからギューッと抱きしめてくる。
彼は何度も私の名前を呼んでいる。
『…さっきから何』
「またエミさんと出かけたん?」
『出かけたよ』
認めると、回されてる腕に力が入る。
少し息苦しいと思い始めていると、ゾムは頭をグリグリと押し付けてくる。
「なんでエミさんと出かけたん?Aはエミさんが好きなん?」
『そういうわけじゃないけど』
「確かにエミさんは頭ええし、女子から見たら紳士的やと思うで。でもAは俺が好きなんやろ??なら、ずーっと俺の隣におってや…」
ちゅ、ちゅ、と今度は首筋に吸い付いてくる。
私はゾムが好き、でもエミさんとは友人として好きだ。
……彼は学生の頃からこうだった。
私がクラスメイトの男子と話すと、放課後には「アイツのこと好きなん?」「アイツは性格悪いからやめとき」と何かと言ってきた。
一途なのはいい事だけど、少し盲目な気がする。
『ゾム、私が好きなのはゾムだけっていつも言ってるでしょ』
「せやけど不安なんよ」
ゾムは腕を離し、私の隣に座った。
そして足を広げた彼は膝をポンポンと叩いた。
…私は仕方がなく、その上に乗った。
『…どうして不安になるの?』
尋ねると、私をギューッと力強く抱きしめながら答えてくれる。
「Aは可愛ええしモテるやん。デートに行った時だって、すれ違った男はAを見んねんで?俺が腰に手を回してたとしても、普通にチラッと見とるもん」
『気のせいじゃない?』
「んなわけないやん。Aは知らんやろ、一時期大先生達に狙われとってんで」
『いや、鬱はそういう性格だし』
「大先生だけちゃう、シャオロンもロボロもやで」
『…まじかぁ』
本当なのかは怪しいが、私のモテ期が学生時代なのは分かった。
未だにぶつぶつ呟くゾムに少し意地悪を言う。
『じゃあ、ゾムと別れたらその3人は私を貰ってくれるんかな?』
ほんの出来心だ、彼に意地悪をするのは。
なんて返事くるか待っていると、ゾムは少しずつ手を動かして私の首に添えた。
「は?何言っとん?俺から離れれるとでも思っとるんか」
『待って、冗談』
「絶対に離さんからな、絶対に」
私の彼氏はいつも不安を抱え、心配ばかりする。
少しでも裏切るとどうなるかぐらい、私にも分かってる。
『大丈夫、離れないから』
私がゾムの背中に腕を回すと、彼は嬉しそうに頭を押し付けてきた。
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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)
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