私の愛する人 ni ページ19
*
大好きな兄さんを待って、どれぐらいたっただろう。
あの頃の若かった私とは違い、今では体に傷は残ってるし歳もとったで大変だ。
グルッペン達も皆、兄さんの帰りを待っている。
「A様、どうなさいました?」
『兄さんを待ってるの』
「兄さん……?A様には兄が…?」
最近入ったメイドは知らないか。
兄さんはあだ名で、とても落ち着いてる優しい人。
『ううん、兄さんは私の愛しい人』
紫のマフラーを付けて、煙草を吸って、今でもどこかで暮らしているんだろう。
「っ、それは申し訳ございませんでした!」
『仕方ないよ、何年も帰ってきてないし』
メイドでも兄さんを忘れるなんて酷い、なんて言えやしない。
何年も帰ってきてない兄さんが悪い。
もしくは、兄さんという存在を教えなかった上司が悪いのかもしれない。
『…ちょっと、城下町に行ってくるね』
「では、何人か兵を……」
『いらんいらん。ただの見回りだから』
誰かと行動したら自由に行動出来ないじゃん。
なんて言葉は飲み込んで、私は城下町に向かった。
町は賑わっており、いつも通りだった。
「あの、A様」
『ん?なんかあった?』
珍しく、町の女性に話しかけられた。
いつもは隣にゾムやらコネシマやらおるから、私なんか妬みの対象にしかなってない。
だから珍しいな、と思った。
「少し手伝って欲しいことがありまして…」
『いいよ、手伝う』
「あ、ありがとうございます!!」
内容を聞いてみると、家から店まで沢山の物を運ぶのを手伝って欲しいらしい。
親が体調を崩しており、人手が足りなくて見捨てられる覚悟で私に頼んだと言う。
『よい、しょ…』
「すみません、折角のお休みを」
『ええって』
まだ大人になったばっかりなんだろう、少しだけ子供っぽい。
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こんにゃく - お疲れ様でした。とてもなめらかで綺麗な文章を書かれていて、読んでいてとても幸せでした。本当にありがとうございました。 (2019年5月17日 20時) (レス) id: 0fb3eb8127 (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - はるさん» 小説を読んでくださりありがとうございました。好きと言ってもらえてとても嬉しいです。これからも無理をしない程度に頑張ろうと思っています。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - キヅキさん» 小説をいくつか読んでくださりありがとうございました。他の場所で巡り会える確率は低いと思いますが、キヅキ様のような優しい方に読んでもらえるように頑張ります。今まで本当にありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
羅(ろう)(プロフ) - 葉月さん» 最後まで見てくださり、ありがとうございました。リクエストをくださった時は本当に嬉しかったです。Twitterのフォロー申請は鍵垢なら全て通しているので、お気軽に申請してくださっても構いません。本当に、今までありがとうございました。 (2019年5月15日 20時) (レス) id: 14801f692c (このIDを非表示/違反報告)
はる - お疲れさまでした。小説、面白かったです!大好きです!これからも、頑張ってください。いつまでも、応援しています。本当にお疲れさまでした。 (2019年5月8日 3時) (レス) id: d3b8419922 (このIDを非表示/違反報告)
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