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「だから、もうお互いが死んだらどうするかとか、そんな刹那的な話はしないで
俺はけっこうそういうの、考えこんじゃうタイプだから」
…みたいだね。
まさか北斗がここまで感情に流されるとは思ってもみなかった。
「いつも俺ばっかAに好き好きって言ってて、Aからはあんまり伝えてくれないじゃん、最近」
「そうかな
北斗、私に好きって伝えてる?」
「伝えてるけど、態度で」
態度か…。
確かにそれは伝わってはくるけど。
「たまには言葉で伝えてほしいな、そういうの」
「言ったじゃん、さっき
愛してるって」
「本当に私のこと、愛してる?」
「愛してるよ
気が狂いそうなほど」
北斗はふわりと笑って、私の髪をひと撫でしたと思ったら、そのままコトリと眠りに堕ちてしまった。
北斗の言うことは、いちいち重い。
だけどその重さは、一度味わってしまうともう抜けられなくなる世界で。
たぶん今後、北斗以外の人と付き合うことがあったとしても、きっと物足りなくて誰も愛せないんだろうな。
北斗は無意識に、私にそういう魔法をかけてるんだろう。
私達の新生活は滞りなくはじまった。
すぐに大学も新学期になり、私達はお揃いで買った自転車で通学し、お互い授業のあとは数時間バイトをして、深夜に家に帰ってくる生活。
土日はバイトを入れないで2人でゆっくりしようね、って話になってたのに!
最近の私達の週末は、家の片付けばかり。
リビングとキッチン、寝室とバストイレだけは夏休み中には大掃除してたけど、
何せ大邸宅なもんで、他の部屋には全く手を付けてはいなかった。
そして、今週末も同じ。
朝から北斗はもうジャージに着替えて、掃除モードになってる中、
ついに私は言ってしまった!
「もう掃除はやだ!」
まだパジャマ姿で、北斗の作ってくれた朝食をちびちびと食べながら、
「洗い物待ちなんだから早くして」とか小言を言われた時に。
つい、勢いで。
そんな私を、北斗は、
「やっと涼しくなってきたんだから、今のうちに片付けておけば年末には楽になるから」
とか、真剣な眼差しで宥めてくるけど。
涼しくなってきた今って、観光シーズンなんだよ、知ってた?
この家に越して来てから、私と北斗が行った場所。
大学,スーパー,ホームセンター,ゴミ捨て,以上。
そんなカップルっている?
私達、今が一番遊んでいい時期なんだよ?
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ゆきの - 何十回もよんでる大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月22日 8時) (レス) id: 3207e964c9 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 一番大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月14日 12時) (レス) id: aaee343ea9 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - ほんとに大好きな作品です。多分もう10回以上読んでいます。更新待ってます。 (2021年5月16日 22時) (レス) id: 931e445941 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - 何度読んでも心が締め付けられます!とても大好きな作品です。 (2021年2月3日 10時) (レス) id: a1c54d44f3 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - 大好きで何度も読み返すくらい好きなお話なので、更新してくださり嬉しいです!続きも楽しみにしています!北斗くんが女の子に嫉妬しているとこが見たいような気がします。 (2021年1月14日 3時) (レス) id: b839608c40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめん x他1人 | 作成日時:2019年5月19日 3時