チョコミントフラペチーノ エキストラホイップ

55 ページ5

「ね、私、体調崩してるんだけど」

「…知ってる」

北斗はこんな時でも丁寧にTシャツを脱ぎ畳みながら、私のキャミソールを肩先までたくしあげる。

「もう顔色もいいみたいだし
それに、Aの方から誘ってきてんじゃん」

「いつ私が誘った？」

本当に自覚ないんですけど！

「牛丼…、完食したくせに」

…って！

何でそんなに恥ずかしそうに答えてくるわけ？

てか、牛丼を完食したことで、誘ってると感じる北斗の感覚がよくわからない。

「あれは、もう大丈夫だから襲っていいよって合図なんじゃないの？」

「違うよ、あれはただお腹空いてたからだもん」

「…わかったから、もう黙って」

そう言って強引に唇を塞いでくる辺りだとか、本当に自分勝手で困る。

だけど実は、彼の予想は大体当たっていて。

体の調子はだいぶ楽になっていて、このまま北斗が添い寝してくれてたらなあって思ってたんだよね。

目の前にある北斗のすべすべの首筋にかぷりと唇で噛みついたら、北斗の動きは急に止まる。

「…Aから仕掛けてくんの、やめてくれる？」

大真面目にそう叱られてしまうけど、目の前においしそうなものが転がってるのに、食べないなんてありえないでしょ。









行為中、北斗は意外によくしゃべる。

「こういうことしていい？」

って、律儀に訊ねてきたり、

「ここ、気持ちいい？」

とか、

「もっとしてほしい？」

って、いちいち確認してくる。

「そんなこと、聞かなくてもよくない？」

そう抗議したら、私の真上から、

「毎回アップデートしていきたいから
それとも、毎回同じのがいいわけ？」

とか、真顔で訊ねてきた。

雰囲気をぶち壊してしまうこともある北斗だけど、キスをしに近付いてくる表情だとか、寸前の切なそうな表情だとか、

そういう時は色気ダダ洩れで。

きっとこの姿は、私しか知らないはず。

56→←54

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す