検索窓
今日:29 hit、昨日:14 hit、合計:188,107 hit

54 ページ4

「俺に傍にいてほしい?」

って、何でつぶらな瞳で訊ねてくるわけ?

まさか、微塵も気付いてなかったってこと!?

「…北斗だったらどう?
病気の時に、誰かに看病してもらいたいとか思わない?」

北斗はしばらく考え込んでから、

「だって病気の時は、寝るくらいかできないし
食糧を置いてもらえば、それでいいかも」

と、真顔で答えてきた。

…北斗は本気でそう思ってるんだろう。

そんな北斗には何を言っても無駄だ。









「Aの好きな牛丼にしたよ」

お母さんみたいな笑顔で、テーブルについた私の前に丼を置いてくる。

…具合が悪い時に牛丼?

確かに北斗の作る牛丼は好きだけど、病気の時ってもっと消化のいいものとかがいいんじゃないの?

「食欲がないだろうから、Aの好きなものを作ってみたよ」

慈愛に満ちた優しい目をしてそんなことを報告されるから、文句なんて言えるはずもなく。

私が食べる様を北斗がじっと見守っているから残すわけにもいかず。

結局私は、牛丼を完食してしまった。

「具合の悪い時は好物を食べた方が、食欲が進むんだよね
まあ、俺の場合だけど」

…わかった。

今後、北斗が病気になった時のために、ちゃんと覚えておく。









食器を洗い終えた北斗は、私をベッドに再び誘導したあと、

何故かそのまま隣にするりと入り込んできた。

「…何で?
片付けに行くんじゃなかった?」

「やめた
なんかAが寂しそうだし、俺も疲れがたまってるし」

そう言って深いため息をひとつついたあと、いつものように私を抱き寄せた。

「いいの?」

なんて、殊勝なことを聞いてみる。

だってついさっきまで、北斗はまた私を置いて行っちゃうんだろうなあって、思ってたから。

「俺的には、早く新居の片付けを終わらせて引っ越しした方がいいと思って頑張ってたんだけど
俺も本当は疲れてるし」

「じゃあ今日は休んじゃおう」

うれしくて北斗に抱きつき返したら、疲れてるはずの北斗は何故か、手のひらをシャツの裾から侵入させてくる。

しかも器用に導入前のリアルなキスをしながら。

「疲れてるんじゃなかった?」

「それとこれとは別」

本当に北斗は口答えばっか。

でも偶然だね。

私も北斗がベッドに入ってきた時から、変な気分になってたんだ。

55→←53



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (649 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2300人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆきの - 何十回もよんでる大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月22日 8時) (レス) id: 3207e964c9 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 一番大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月14日 12時) (レス) id: aaee343ea9 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - ほんとに大好きな作品です。多分もう10回以上読んでいます。更新待ってます。 (2021年5月16日 22時) (レス) id: 931e445941 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - 何度読んでも心が締め付けられます!とても大好きな作品です。 (2021年2月3日 10時) (レス) id: a1c54d44f3 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - 大好きで何度も読み返すくらい好きなお話なので、更新してくださり嬉しいです!続きも楽しみにしています!北斗くんが女の子に嫉妬しているとこが見たいような気がします。 (2021年1月14日 3時) (レス) id: b839608c40 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかめん x他1人 | 作成日時:2019年5月19日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。