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居酒屋を出た北斗は夜の繁華街を、私の手を引いてぐんぐんと歩いていく。
チラリと北斗の横顔を盗み見すれば、満足げに口元に笑みを携えていた。
「今の人、本当に友達だった？」
耐えきれずにそう質問すれば、北斗はすました顔で答える。
「友達じゃないけど」
「でも、そこそこ仲が良かったんでしょ？」
「たまに話をするくらいだけどね」
それって、そこそこ仲がいいっていうんだろうか。
だけど北斗が私以外の誰かと仲良くしている場面なんて、あまり見たことがないから。
そんな北斗がたまに話をするくらいの人なんだから、彼にとってはきっとそこそこ仲がいいと思える存在だったんだろう。
「用事は終わったって言ってたけど、その黒坂くんって人に会うのが用事だったってこと？」
「そう、黒坂に会うのが目的で同窓会に行きたかったから」
「そんな話、今日初めて聞いたんだけど」
「だって正直に話したら、Aはついてきてくれないだろうし」
当たり前じゃん。
中学高校と、いつもベッタリと北斗といた私が、懐かしむような友達はいないわけで。
今日だって、そんなに楽しくなかったよ。
「そんなに黒坂くんに会いたかったんなら、１人で行けばよかったじゃん」
「だって黒坂に、Aと一緒にいるところを見せつけたかったから」
「…どういう意味？」
「黒坂は、高校の時にAのことが好きだったから」
…は！？
どういうこと！？
それって北斗の思い込みなんじゃないの？
今日だって、黒坂くんからちっともそんな雰囲気を感じなかったけど？
「一年生の時に、黒坂から声をかけられて、俺とAとの関係をやたらと聞いてくるから、「Aとは親友だよ」って話してたんだけど
けっこう、あいつAのこと、本気だったみたいで
俺に、仲を取り持ってくれとか頼んできたこともあったし」
「で、北斗はどうしたの？」
「断ってもよかったんだけど、角が立つのも面倒だから「Aは他に好きな男がいるみたいだよ」とか言って、諦めさせてた」
「嘘じゃん、それ」
「嘘じゃないと思うけど？
実際、あの頃からAは俺のことが好きだったじゃん」
涼しい顔して、そんなこと言わないでくれる？
北斗だって、あの頃から私のことが好きだったくせに。
だけど、裏でそんなやり取りがあったなんて、当時の私は全然知らなかったわけで。
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ゆきの - 何十回もよんでる大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月22日 8時) (
レス) id: 3207e964c9 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 一番大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月14日 12時) (レス) id: aaee343ea9 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - ほんとに大好きな作品です。多分もう10回以上読んでいます。更新待ってます。 (2021年5月16日 22時) (レス) id: 931e445941 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - 何度読んでも心が締め付けられます！とても大好きな作品です。 (2021年2月3日 10時) (レス) id: a1c54d44f3 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - 大好きで何度も読み返すくらい好きなお話なので、更新してくださり嬉しいです！続きも楽しみにしています！北斗くんが女の子に嫉妬しているとこが見たいような気がします。 (2021年1月14日 3時) (レス) id: b839608c40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめん
x他1人 | 作成日時：2019年5月19日 3時
