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「いつもと違う場所だから、緊張する?」

そんなことを言いながら頬を撫でてくる、その北斗の指が強張っているのに気付いた。

…まさか、北斗も緊張してる?

じっとその顔を見つめれば、恥ずかしそうに目を逸らしてくる。

なんだ、さっきまでグイグイ攻めてきてたのは、照れ隠しだったってこと?

急に余裕が出てきた私は、調子に乗って自分から北斗にキスを仕掛けた。

しかも、いつも前戯の前に北斗がしてくるような濃厚なヤツ。

最初は驚いてた北斗も、そのうち同じようにそのキスに乗ってくる。

ああ、私達はずいぶん遠くまで来てしまった。

やんわりと押し倒された私は、部屋の派手さとはうってかわって真っ白で地味な天井を眺めながら、そんなことを考える。

一年前の私は、こんな未来なんて全く想像もしていなかった。

ラブホテルのベッドの上で、北斗に服を脱がされてるなんて。

私達はとうとう、大人になってしまった。









フリータイムの終了までの間、私達はずっとベッドの上にいた。

しかも、ずっと服を着ないままで。

テレビを見たり、じゃれ合ったり。

こんなに幸せな休日は久しぶりだ。

だって最近の私達は掃除だの家のことばかりに追われていて、ちっとも恋人らしいことをしてこなかったよね?

たまにはこんなご褒美があったっていいと思う。

本日何十回目かのキスをしている途中、北斗の携帯からアラーム音が鳴り始めた。

「あーあ、タイムアウトが来ちゃった」

あっさり私から体を離した北斗は、ベッドの端に転がっていた服を無造作に掴んだ。

私達の濃密な時間は、終了してしまった。

出来れば毎日、こんな日々を過ごしていたいのに。









ホテルを出たら、もう辺りは夕焼けに包まれていた。

目が痛くなるくらいのオレンジを背にして手を繋いで歩く私達の前に、細長い影法師ができていて、

その長く伸びていた影を見ているだけで、なんだか懐かしさで切なくなってくる。

それは高校時代、塾に向かう私達の光景と重なるから。

「なんか…、高校の時を思い出さない?」

ほら、北斗もそんなことを言い出した。

「塾に向かう道でしょ?」

そう聞き返したら、隣から北斗がふんわりと笑いかけてくる。

「あの頃は大変だった」

思い出し笑いなのか、くすくすと笑いながら北斗は駅へと続く道をゆっくり進んでいく。

「北斗に大変なことなんてあった?」

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ゆきの - 何十回もよんでる大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月22日 8時) (レス) id: 3207e964c9 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 一番大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月14日 12時) (レス) id: aaee343ea9 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - ほんとに大好きな作品です。多分もう10回以上読んでいます。更新待ってます。 (2021年5月16日 22時) (レス) id: 931e445941 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - 何度読んでも心が締め付けられます!とても大好きな作品です。 (2021年2月3日 10時) (レス) id: a1c54d44f3 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - 大好きで何度も読み返すくらい好きなお話なので、更新してくださり嬉しいです!続きも楽しみにしています!北斗くんが女の子に嫉妬しているとこが見たいような気がします。 (2021年1月14日 3時) (レス) id: b839608c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめん x他1人 | 作成日時:2019年5月19日 3時

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