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「でもこの部屋、何時間いられるの?」

「昼間のフリータイムだから、夕方の4時までいられるみたい
今は10時だから、6時間はいられるよ」

6時間!?

そんなにいられるわけ?

まるでカラオケのフリータイムみたい。

北斗はもどかしげにパーカーを脱ぐと、きちんと備え付けのハンガーにかけながら、

「どうする?とりあえず一回する?」

とか、無遠慮に聞いてくる。

…って、何?その聞き方!

せっかくいい雰囲気なのに、ムードも何もないじゃん!








「Aも上着、貸して」

北斗は手を差し出してくるけど、私は首を振って断った。

「カーディガンだから、いい」

「暑くない?」

「下はキャミソールだし、やめとく」

「それなら尚更、脱げば?」

私の背後に回っては、器用にカーディガンを脱がせた北斗は、それを満足げにハンガーにかけてしまう。









2人して桃色のベッドの上に乗ってみるけど、なんなんだろう、この気まずさは。

いつも家ではバカみたいにくっついてるのに、今日はそれすら勇気を伴うくらいの、気まずさ。

「もっとこっち来れば?」

微妙に離れた位置に座ってる北斗は、私に向かって手を伸ばしてくる。

だけど何故か私は、ちょっと位置をずらして、更に離れた位置に座り直す。

「何で逃げんの?」

「…わかんないけど」

「じゃあ、俺が行こうかな」

北斗は更に距離を詰めて来て、とうとう私の目の前に座り込んでしまった。








「A、緊張してんの?」

からかうように顔を覗き込んでくるから、わざと顔を背けながら、こっちも逆襲してやる。

「北斗、そんなに私とラブホに来たかったの?」

「当たり前じゃん」

「意外
だって北斗なら、『そんなのお金の無駄』とか言いそうだし」

「経験をお金で買えるなんて、安いもんじゃん」

北斗は私の質問に答えながら、どんどん距離を詰めてくる。

「じゃあ、1回経験したら、もう来ない?」

「行くんじゃない?
急にしたくなった時とか、旅行先でホテルがなかった時とか」

とうとう北斗の唇は、私の頬に柔らかく触れて、すぐに離れていく。

「早くAに触りたいんだけど」

「…だめ」

「何で?
いつもはいっぱい触らせてくれるのに」

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ゆきの - 何十回もよんでる大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月22日 8時) (レス) id: 3207e964c9 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 一番大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月14日 12時) (レス) id: aaee343ea9 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - ほんとに大好きな作品です。多分もう10回以上読んでいます。更新待ってます。 (2021年5月16日 22時) (レス) id: 931e445941 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - 何度読んでも心が締め付けられます!とても大好きな作品です。 (2021年2月3日 10時) (レス) id: a1c54d44f3 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - 大好きで何度も読み返すくらい好きなお話なので、更新してくださり嬉しいです!続きも楽しみにしています!北斗くんが女の子に嫉妬しているとこが見たいような気がします。 (2021年1月14日 3時) (レス) id: b839608c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめん x他1人 | 作成日時:2019年5月19日 3時

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