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思いっきり嫌味を込めてそう言ったのに、北斗はテンション高めに返してくる。

「楽しいに決まってんじゃん
あの家は俺がずっと探してた理想の家なんだから」

「…それはよかったですね」

わざと北斗に背を向けて、寝たふりを決め込む。

本当は全然眠れそうにないんだけど。

「まずリビングを片付けて、普段はあの部屋で過ごすようにして
キッチンやバストイレさえ片付ければ、もう引っ越せると思うんだよね
あ…、門から玄関までの通路も草刈りしとかないと
残りはおいおい、2人でしていけばいいんじゃない?」

「…何で私が手伝わなきゃいけないわけ?」

「は?俺1人にさせるつもり?」

「当たり前じゃん、北斗の家なんだから
私には関係ないし」

それだけ言い残して、頭まですっぽりと布団をかぶった。

北斗は何もわかってない!

残される私の気持なんか何も。








なのに北斗は、簡単にその布団を剥ぎ取ってしまう。

「関係あるだろ
Aも一緒に住むんだし」

「…は?
何で私が一緒に住むわけ?」

「まさかA、ここに残るつもり?」

「だって、北斗1人が引っ越すんでしょ?」

「俺、そんなこと一度も言ってないけど」

言ってないよ。

言ってないけど、2人で引っ越すとも言ってないよね?

北斗は言葉が足りないんだよ。








「無理だよ
この部屋の契約期間、まだ残ってるし」

「確かここ、1ヵ月前までに連絡すれば違約金なしで引っ越せるはずだけど」

だから何で北斗がそんなこと知ってるわけ?

私でもよく知らないのに。

「想像してみて
2階のあのバルコニー付の寝室で、俺らは夜を過ごすわけ
で、窓から差し込む朝日で自然に目を覚ます」

「カーテンつけないの?」

「いらないだろ、あの部屋には」

「いるよ
寝坊したい日だってあるもん」

「カーテンとかそういう細々したものを揃えてたら、お金がいくらあっても足りないけど」

ああ言えばこう言う…。

本当に北斗は憎らしい!








「Aと住みたいんだけど、あの家に」

かと思えば、急にしおらしく背中から抱き寄せてきたりする。

「1人であの家に住むなんて、全く想像もしてなかった」

うなじ辺りに唇を寄せると、

軽く吸い上げて、余韻がたっぷり残るようなキスをしたあと、

「24時間、Aと一緒にいたい」

とか、かなり重い言葉を発して、私を強めに抱きしめた。

…この北斗の緩急つけた言動で、私は簡単に堕ちてしまうことになる。

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ゆきの - 何十回もよんでる大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月22日 8時) (レス) id: 3207e964c9 (このIDを非表示/違反報告)
はつね(プロフ) - 一番大好きな作品です。更新待ってます。 (2021年7月14日 12時) (レス) id: aaee343ea9 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - ほんとに大好きな作品です。多分もう10回以上読んでいます。更新待ってます。 (2021年5月16日 22時) (レス) id: 931e445941 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ(プロフ) - 何度読んでも心が締め付けられます!とても大好きな作品です。 (2021年2月3日 10時) (レス) id: a1c54d44f3 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - 大好きで何度も読み返すくらい好きなお話なので、更新してくださり嬉しいです!続きも楽しみにしています!北斗くんが女の子に嫉妬しているとこが見たいような気がします。 (2021年1月14日 3時) (レス) id: b839608c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめん x他1人 | 作成日時:2019年5月19日 3時

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